12/17 消費者委員会食品表示部会の審議に対する要望を提出しました。

現在、消費者委員会食品表示部会で、食品表示の全体的在り方の検討が行われています。しかしこの審議は、多くの問題点があることから、食品表示を考える市民ネットワークでは審議のあり方・論点を消費者目線に沿って見直し、適正に審議をしていくことを求めて、消費者及び食品安全担当大臣、消費者庁長官、消費者委員会委員長、食品表示部会長、食品表示部会委員宛てに、「消費者委員会食品表示部会の審議に対する要望」(12月17日付)提出しました。


消費者委員会食品表示部会への要望書

消費者委員会食品表示部会の審議に対する要望

 食品表示を考える市民ネットワーク代表 神山 美智子

現在消費者委員会食品表示部会で、食品表示の全体的在り方の検討が行われています。しかしこの審議は、多くの問題点があることから、食品表示を考える市民ネットワークでは審議のあり方・論点を消費者目線に沿って見直し、適正に審議をしていくことを求めます。

1.食品表示部会において、11月8日に検討の前提として配布された「食品表示の全体像にかかる課題から解決策までの整理」と題する資料では、<原因>「情報過多(表示事項が多すぎる上、消費者に提示される情報が多すぎる)」と記載されています。しかも、前回11月27日の部会では、「一括表示」に残すものと、外しても良いものの仕分けまで議題に上っていました。

食品表示の基本はパッケージへの記載です。表示が多すぎるという認識は消費者への情報提供を少なくするとの結果を招くことにつながります。しかも、現在のパッケージの表示方法は、商品名や宣伝用の強調表示が表面と裏面に大きく記載されており、消費者が知りたい表示のスペースが少ないのが実態です。宣伝用表示面を1面のみにできないかなどの検討を求めます。

2.食品表示の問題は、「情報過多」にあるのではないと考えます。むしろ、食品表示が真実を覆い隠す働きをしている点にこそ問題があります。

例えば、食品添加物は原則全部の物質名を表示することになっているのに、「一括名」「簡略名」などを認めることにより多くの添加物の物質名が表示免除とされているのが実状です。中でも多くの増粘剤を使用した場合に認められる「増粘多糖類」は、事業者側の造語であると言われるものであり、使用の実態が見えません。

このような問題点を踏まえ、食品添加物の表示方法を原則に立ち返り、全部の物質名記載を可能とするにはどうすべきか、という論点から検討することを求めます。

3.このように現在でもわかりにくい食品表示となっている実態を何ら問題にせず、分かりやすく正確な表示の実現へと見直しを図ることへの認識を共有することなく、現行表示をいっそう簡略化することへの方策として、7年後、10年後を目途に、二次元バーコードを利用し、WEBでの情報提供をもって表示に代えることまで検討しているのは、消費者の選択の権利を無視し、中小企業者の実情をも無視するものです。実際、消費者の中には、個人の携帯端末でインターネットに接続したくない人も多くいます。

全商品にバーコードを印刷し、各店舗に複数のバーコード読み取り機を設置することは、中小企業が多い日本の食品事業者には不可能を強いるものです。表示方法のあり方としては現実的でないばかりか、今後の超高齢社会への対応としても消費者目線から外れています。むしろ、文字色の使い方、文字の大きさ等の検討が必要だと考えます。

4.食品表示法は、第3条基本理念において、「消費者基本法第2条第1項に定める消費者政策の一環として」「消費者の安全及び自主的かつ合理的な選択の機会が確保され、並びに消費者に対し必要な情報が提供されることが消費者の権利であることを尊重する」「消費者が自らの利益の擁護及び増進のため自主的かつ合理的に行動することができるよう消費者の自立を支援する」と定められ、第2項には、小規模の食品関連事業者の事業活動に及ぼす影響及び食品関連事業者間の公正な競争の確保に配慮する」と定められています。これらを踏まえた議論こそ必要です。

この点からも、食品表示部会での審議内容、審議方針には、消費者の権利を確保すること、及び小規模食品事業者に配慮することなど、法に規定された視点が欠けていると思わざるを得ません。法に沿った審議を求めます。

消費者委員会食品表示部会は、現行の食品表示体系が不十分なままであるという実態を認識した上で、それら課題を放置することなく、消費者目線からの審議を実施していくことを強く求めます。

以上

 【参加団体】食の安全・監視市民委員会/主婦連合会/新日本婦人の会/生活クラブ連合会/グリーンコープ共同体/NPO法人日本消費者連盟/遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン/我孫子市消費者の会/千葉県消費者団体連絡協議会/東京都地域消費者団体連絡会/たねと食とひと@フォーラム