6/16 規制改革推進会議の答申に抗議する意見書を提出しました

2017年6月16日 内閣総理大臣、消費者担当大臣、消費者庁長官、消費者委員会委員長、規制改革推進会議議長宛てに意見書「さらなる規制緩和を進める規制改革推進会議「第一次答申」に対する抗議 ~消費者不在の「機能性表示食品制度」の廃止を求めます~」を提出しました。

規制改革推進会議答申に抗議

安倍首相の諮問機関「規制改革推進会議」は5月23日、「第一次答申」を安倍首相に提出しました。今後政府はそれをもとに「規制改革実施計画」を策定し、閣議決定後の施策実施導入を予定しています。

安倍首相が提唱する規制改革は、その対象が消費生活に身近な分野になるほどに、事業者優先・消費者軽視の色彩が強くなり、まったく消費者不在の施策も目立ちます。今回の「規制改革推進会議」の第一次答申においても、「魅力的なビジネスを世界に先駆けて実現させる」、そのために「岩盤規制改革に徹底的に取り組む」「一気にアクセルを踏み込む」との安倍首相の意向に基づき検討したことを表明しており、「ビジネス優先」を謳い「社会的規制」と「経済的規制」を混同した不十分で、乱暴な提案を提起しています。

その一つに「機能性表示食品制度」のさらなる規制の緩和が盛り込まれています。機能性表示食品制度は「消費者不在」の制度としてスタートし、事業者の責任による表示制度でありながら、その責任が担保されず、資料公開を原則とする届出制度も制度運用の核となる「届出ガイドライン」も、何ら実効性のない欠陥に満ちたものです。私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」は、これまで何度となく、導入反対・制度廃止を求めてきました。

実際、トクホ(特定保健用食品)の許可表示以上の機能性をうたうものも目立ち、消費者の混乱は最高潮に達しています。このままでは、誤認表示横行による財産被害だけでなく、大量健康被害も発生する可能性が高まっています。

そのような状況に対して規制改革推進会議の「第一次答申」は、消費者庁が行った『機能性表示食品に係る機能性関与成分の取り扱い等に関する検証事業報告』において明らかになった、導入2年後の機能性表示制度の欠陥や課題について少しも振り返ることなく、ただただ、事業者に活用しやすい制度へと規制を緩和し、事業者の要求に応えることのみを主張した内容となっています。

私たちは、このような視点は消費者の権利を一向に尊重していないものと考え、厳重に抗議するとともに、以下のような問題点から機能性表示食品制度の廃止を求め、トクホを含む保健機能食品制度の総合的・抜本的見直しに早急に着手することを要求します。

【記】

1.規制改革推進会議の「第一次答申」に盛り込まれた「機能性表示食品の改善」の項目は、事業者目線からのみ提案され、事業者の要求のみを取り上げたものであり、この提案に沿った施策が導入されると、いっそう食生活の混乱を招くことから、そのような提案自体に厳重に抗議します。

2.「第一次答申」は、機能性表示食品の届出事業者の負担を軽減することを目的に、「届出ガイドライン」の見直し・緩和を提起していますが、その方向性は現在の同ガイドラインの「欠陥性」をいっそう拡大させるものであり、強く反対します。

3.「第一次答申」は、「業界団体等による点検を経た届出書類について、消費者庁での確認作業が迅速に進む仕組みを構築する」ことを提案していますが、これは現行の消費者庁による届出書類のチェックを民間の「業界団体等」によるチェックへと大幅に変更・緩和する措置であり、「届出制度」に対する信頼性をますます低下させるものであり、強く反対します。むしろ書類提出日を遡って届出日とする現在の取り扱いを止め、消費者庁の確認作業が終了し、事業者の書類がそろった日を「届出日」とするべきです。

4.「第一次答申」は、生鮮食品の機能性表示食品制度の活用促進へ向け施策検討を求めていますが、季節食品であり、成分のバラつきを特徴とする生鮮食品は、本来、機能性表示食品制度には馴染まないものです。生鮮食品の制度活用への提案には強く反対します。

5.「第一次答申」は、18歳・19歳の消費者の対象データの活用を明確化することや、軽症者データの取扱い範囲の拡大をはじめ、アレルギー、尿酸値、認知症等に関するデータについても機能性表示食品の届出資料としての活用を可能とするよう検討を求めています。しかし、機能性表示食品はあくまでも健康な人を対象とした「食品」であり、機能表示については、消費者の混乱防止と健康被害防止の観点から、より慎重であるべきであり、この提案についても強く反対します。

6.機能性表示食品制度については、廃止こそ最善策です。この視点からの施策を実施するなど、現行のトクホなど保健機能食品制度の総合的・抜本的検討に早急に着手することを求めます。

以上