機能性表示食品の対象範囲拡大に反対する意見書を提出しました

2017年1月11日、消費者担当大臣および消費者庁長官、消費者委員会委員長宛てに意見書「機能性表示食品の対象範囲拡大に反対します~~新たなリスク増大よりも全面的見直しを~~」を提出しました。
 機能性表示食品対象範囲拡大に反対する意見書

消費者庁は同庁「機能性表示食品制度における機能性関与成分の取扱い等に関する検討会」が12月にまとめた「報告書」をもとに、新たに機能性表示食品制度の対象に「一部の糖質、糖類」及び「エキス等」を追加することを明らかにしました。私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」は、機能性表示食品制度が食生活のリスクを高めるだけの欠陥制度であり、消費者の利益を確保する何らの保障もない中で、今、新たに新規成分を対象に追加することはいっそう大きな安全性への懸念を招くものであることから強く反対を表明せざるを得ません。

検討会「報告書」が認めているように、「エキス等」など対象成分の追加措置によって、機能性表示食品として「届け出られる食品数は一層増加する」ことは明らかです。その制度の適正運用を、法的義務もない抜け穴だらけの「ガイドライン」で実施しようとする考えを踏襲していること自体にそもそも無理があり、今回の成分追加措置もそのような無理を踏まえた「失政」と断言せざるを得ません。

機能性表示食品は、「事業者の責任による科学的根拠に基づく表示」を前提にしていますが、すでに、届出データの不十分性や関与成分量の表示との不整合が問題化しています。この制度の特徴である無責任体制の根本課題を抜きにした検討を続けている限り、ツケは必ず消費者に転嫁され、健康被害・取引被害が発生してきます。

私たちは、今回の機能性表示対象拡大について抗議するとともに次の点を要望します。

1.消費者庁は、「エキス等」の対象範囲拡大がそもそも消費者にどんな利益をもたらすのか、明確にすべきです。

2.制度が謳う「事業者責任」が何ら担保されていない現行制度の問題にこそ目を向けるべきです。

検討会「報告書」は、制度運用の適正化にあたって現行ガイドラインの改正などを謳っていますが、現行ガイドラインは「食品表示を考える市民ネットワーク」の意見書(2015年6月4日)で記したように、法的義務のない抜け穴だらけの特徴を持ちます。今回の修正予定事項も何ら根本改善に結びつくものではなく、機能性表示食品制度の全面的見直しをさらに先送りにするものです。

3.関与成分量などに関する分析方法の公開は必須条件です。

消費者庁は、現在非開示とされている機能性関与成分の分析方法について「原則公開とすることが適当である」との意見を踏まえた措置をとるようですが、そもそも機能性関与成分の分析方法の開示は、事後チェック遂行に必要・不可欠であり、当然、一般に明らかにされていることが前提です。これは「届出資料の公開」を要件とする機能性表示食品制度の根幹に位置付けられるべき問題であり、検討課題にするまでもなく、当然の措置です。

4.「事故情報の報告義務」を事業者に課すことこそ喫緊の課題です。

「報告書」では、「健康被害情報の収集・評価」について、消費者に速やかな報告 ができるよう「届出者における有害事象の具体的判断を行いやすく標準化できるようにすべき」と提案し、現行ガイドラインに基づく規定項目を改正することを提案しています。消費者庁もそれを受け、同庁に事業者からの有害事象事例が収集しやすくなるよう事業者の判断基準を明確にする意向を示しています。

しかし、最も問題なのは、その報告が義務化されていないことです。海外並みに「食品における事故情報の報告義務化」を事業者に課す制度を導入しない限り、機能性表示食品制度での健康被害は潜在化してしまいます。

5.トクホ・栄養機能食品制度など保健機能食品制度全般の見直しに早急に着手するべきです。

保健機能食品については消費者庁による事後チェック機能が発揮されなかったことで、「関与成分」「広告・表示」「使用実態」など、制度の根本問題への信頼性が揺らいでいます。早急に保健機能食品制度全般の見直しに着手することを求めます。

以上

トクホ違反横行に抗議する要望書を提出 10月7日

2016年10月7日、消費者担当大臣、消費者庁長官、消費者委員会委員長宛てにトクホ違反横行に抗議する要望書「トクホ違反横行に抗議します~保健機能食品制度の総合的抜本改善を~」を提出しました。
トクホ違反横行に抗議します ~保健機能食品制度の総合的抜本改善を~

消費者庁は日本サプリメント社のトクホ(特定保健用食品)6品目について9月23日、表示許可取消を措置しました。次いで、9月27日には、業界団体の公益財団法人日本健康・栄養食品協会を通じて、すべてのトクホ約1200品目について、成分含有量調査や販売実績、失効予定などについて調査するよう要請し、10月26日までの回答を求めました。さらに9月30日には改めて事業者による自主点検の推進を求める要請文を発表しました。

一連の同庁の対応は日本サプリメント社の表示許可取消要因となった関与成分が含有されていなかった事実や、含有していても規定値に満たないものだったこと、さらに、その事実を同社が把握してから少なくとも2年以上も消費者庁に報告しなかったこと、など、同社の極めて悪質な行為が背景にあるとされています。実際、日本サプリメント社は2014年3月にも許可表示とは異なる表示で販売していた例があり、当時の消費者庁長官が「誠に遺憾」として再発防止を指示したことを記者会見で報告したこともありました。

しかし、私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」は、今回の消費者庁の一連の措置は同社の悪質性以外に別の重大な事実を示したという、そのことにこそ驚愕しています。

トクホの表示許可は消費者庁などの関与のもとに実施されます。許可した消費者庁は許可時の要件が市販後も維持されていることを常に確認することが果たすべき責務であるはずです。そのことが国民・消費者からの重大な付託であるからです。ところが今回の「事件」はそのことを消費者庁においてどの職員も全く認識していなかったことを教えました。それが分かった段階で、トクホ制度の信頼性は崩壊したと言えます。消費者への重大な裏切り行為を蔓延させる無責任体制となっていたこと、この深刻な事実が提示されたのです。

今回の「事件」は、まさにこの「無責任体制のまん延」を示す象徴的出来事です。日本サプリメント社が消費者庁に報告しなかったら、さらに違反行為は継続されていたこと、許可を与えた消費者庁自身が現在の市販トクホについて何ら実態を把握していなかったこと、一義的責任がある事業者及び事業者団体に対して事が起こってからの対応を迫るのみで、許可責任者として自らが真に再発防止につながる実効性ある施策を提示できないでいること、もっとも重要なのは、このような事件発生の原因究明に消費者庁自身が取り組む気概を見せていないことです。一過性の「事件」として済まそうとするなら、もはや消費者庁の存在価値はなく、消費者にとっては必要悪でしかありません。

それは消費者委員会に対しても言えることです。消費者委員会は、トクホ表示許可にあたって意見を述べる機会を有しています。しかし、今回の「事件」に際しては、いまだに具体的対応すら見られません。静観は許されません。消費者目線から文書による意見を発信し、時計を前へ進めることこそ消費者委員会の役割であるからです。

このような消費者目線に立って消費者の痛みを胸に感じることのできる行政機関が存在しないからこそ、今回の事件は起きたと私たちは考えます。そこで、このような事態に厳重に抗議するとともに、下記項目を要望します。

なお、10月31日までに要望に対する方針など、ご回答をお願いします。

  1. 消費者庁は、今回の「事件」を時系列的に究明し、日本サプリメント社が販売した問題トクホの販売数、売上額を過去にさかのぼって総合的に明らかにし、公表すること。特に、「事件」発生の原因究明に速やかに取り組み、同社が違反に至った要因と消費者庁の監視・チェックの実態、その課題、事前に違反を把握できなかった要因を明確にすること
  1. 消費者庁は、「事件」公表後の日本サプリメント社の消費者対応を把握し、問い合わせ電話がつながらない消費者苦情がまん延していることを重視し、消費者目線からの消費者対応をとるよう同社を指導すること
  1. 消費者庁はあらゆる執行法律を勘案し、日本サプリメント社に対し、課徴金の賦課をはじめ、厳しい法的処分を下すこと
  1. 消費者庁は、公益財団法人日本健康・栄養食品協会に要請した10月26日を期日とする調査結果を公開すること。あわせて、今年5月に機能性表示食品検討会で報告した機能性表示食品の事後調査の結果も早急に公開すること。いずれの公開も実施しない場合はその理由を説明すること
  1. 消費者委員会は、今回の「事件」についてトクホ許可の審査に関わる消費者委員会として、その自らの態度を、意見・提言・建議などいずれの形態にかかわらず、消費者・国民及び消費者庁に対して文書で明らかにすること
  1. 消費者委員会は、消費者庁および関連省庁のトクホ関連施策について、消費者目線から調査し、今回の「事件」がなぜ発生したのか、なぜ防止できなかったのか、その責任所在も含め、再発防止への政策提案を提示すること
  1. 消費者委員会は、平成23年6月23日付の「特定保健用食品の表示許可制度専門委員会」報告書で更新制度導入の検討を消費者庁に求めている経緯を重視し、同制度を早急に導入するよう消費者庁に働きかけること
  1. 消費者の信頼回復と適正な表示制度へ向けて、トクホ、栄養機能食品、機能性表示食品など各種保健機能食品制度を総合的・一元的に捉え、それら現行制度を抜本的に改善する検討に早急に着手すること

以上

8月30日 加工食品の原料原産地表示に関する意見書を提出

2016年8月30日付けで、消費者担当大臣、消費者庁長官、消費者委員会委員長宛てに、現在、消費者庁と農林水産省主催の検討会で議論されている「加工食品の原料原産地表示」について意見書を提出しました。

加工食品の原料原産地表示意見書

 

「加工食品の原料原産地表示は国別表示が原則です」

消費者庁「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会」の審議は、今秋の報告書のまとめを目指し、大詰めを迎えています。しかし、最終検討段階にあたって、事業者の「実行可能性」を重視するあまり、消費者が求め、実現されるべき適正な原料原産地表示が、再び三たび、風前の灯のような状態に置かれています。
私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」は、加工食品の原料原産地表示は、国別表示を原則とすること、それは十分可能であること、そのためのトレーサビリティシステムなどの環境整備にも力を注ぐこと、などを提起し、正しくわかりやすい表示実現を求めてきました。
その方向性はこれまで10数年にわたり先延ばしにされてきた加工食品の原料原産地表示の実現に新たな視点から挑むことを意味し、事業者の「実行可能性」を全体で底上げし、食品輸入大国・日本の現状を踏まえた「消費者の目線」を尊重する新表示制度の導入へと結びつくものと考えています。それは実行可能性の高い施策であると、私たちは認識しています。
同検討会は、足踏みも後退もすることなく、しっかりと前へ向かって進んでいただきたい。検討の方向性があいまいにならないよう、改めて以下の点について意見を述べ、消費者を重視した加工食品の原料原産地表示の実現を求めます。

 

1.加工食品の原料原産地表示は、何よりも国別表示が基本であり、これが原則であり、その点を明確にすべきです。消費者が知りたいのは、実際に購入した食品の原材料がどこの国のものか、その事実です。

2.従って、「可能性表示」「大括り表示」は、基本・原則から外れた「緊急避難措置」「緊急的な例外規定」であり、これら表示方法は通常規定では認められないことをまず明確にしてください。また「中間地表示」はそもそも原料原産地表示とは異なりますので、別の表示法として位置付けるべきです。

3.現行の22食品群+4品目を規定する「2要件」を廃止し、新しい表示ルールのもとに一本化すべきです。この「2要件」による複雑・怪奇な表示の弊害については、すでに私たちの意見書等でもその実態を明らかにしています。

4.加工食品の製造・販売業者は、自ら製造・販売する食品の原材料がどこの国で生産あるいは加工・製造されたものか、きちんと把握することが、課せられた最低限の責任であることを自覚してください。本来果たすべき責任を果たしていないことを「実行可能性」の議論に持ち込むのは、事業者責任の回避であり、消費者としては許すことができません。

5.以上の点を制度的に担保するための食品トレーサビリティー制度の導入を検討することを報告書に盛り込んでください。原料採取から中間加工・製造・包装・販売などの各段階で情報が適切に伝達されていることの制度的保証が新しい表示制度の信頼の証となり、消費者が望んでいることです。

以上

8月2日 食品添加物表示基準に関する諮問及び審議について要望書を提出

2016年8月2日、消費者担当大臣、消費者庁長官、消費者委員会委員長宛てに、「食品添加物の表示基準策定に関する要望書」を提出しました。

食品添加物の表示に関する意見書

意見の趣旨

食品衛生法に基づいて厚生労働大臣が指定する食品添加物の表示基準について、消費者庁長官は、かならず消費者委員会に諮問し、消費者委員会は食品表示部会において審議するよう求めます。

意見の理由及び経過

平成21年に制定された消費者庁及び消費者委員会設置法により、食品衛生法に基づき厚生労働大臣が指定する食品添加物の表示基準策定は内閣総理大臣(消費者庁長官)の職務とされ、内閣総理大臣は消費者委員会の意見を聞くこととされた。

それ以前は、食品衛生法に基づく食品添加物の指定、使用基準、表示基準等は、すべて薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて、厚生労働大臣が定めることとされていた。

しかしながら、消費者庁は、新たに指定される食品添加物の表示基準につき、消費者委員会に諮問せず、消費者委員会でも審議が行われていない状況にある。

特に、甘味料アスパルテームは、L-フェニルアラニンを含有することにより、フェニルケトン尿症の人にとっては有害であるとして、食品衛生調査会の審議により、L-フェニルアラニン化合物との警告表示が定められ、また同様の成分を持つネオテームにつき、平成19年7月の薬事・食品衛生審議会で審議の上、警告表示は不要とされた。

しかし、消費者庁・消費者委員会設置後の平成26年6月に厚生労働大臣により指定されたアドバンテームは、アスパルテームと同様の問題があるにもかかわらず、消費者委員会ではまったく審議されていないのである。

また本年3月に薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会が、釜揚げしらす、しらす干し及びちりめんじゃこに残留を認めた(1kgにつき、0.005g未満)過酸化水素は、遺伝的に過酸化水素処理機構であるカタラーゼが欠損した「無カタラーゼ症」の人には有害であるので、選択のための表示が不可欠である。ちなみに上記添加物部会においても、カタラーゼが低い人への懸念は100%払拭できないと記載されている旨の発言がある。

使用基準改正により残留が認められることとなる過酸化水素についても、消費者委員会食品表示部会での審議は不可欠である。

食品添加物の表示は非常に重要であり、消費者庁及び消費者委員会は、自らの職責を全うするために諮問及び審議を行うべきである。

仮にこのような状況が継続するのであれば、消費者庁及び消費者委員会は、まったく機能していないと言わざるを得ないことになろう。

以上

なお、この要望に対し、2016年8月19日までに、書面で回答を求めます。

8月2日 機能性表示食品に関する事後調査結果の詳細公表を求める意見書を提出

2016年8月2日、消費者担当大臣、消費者庁長官、消費者委員会委員長宛てに意見書「機能性表示食品に関する事後調査結果の詳細を公表すること~商品名非公開は消費者の選択の権利を侵害します~」を提出しました。

機能性表示報告書に対する意見書

消費者庁は7月7日、先の「機能性表示食品制度における機能性関与成分の取扱い等に関する検討会」(5月26日開催)で報告した機能性表示食品制度の事後調査結果に関する「報告書」を同庁ホームページで公開しました。昨年10月31日までに消費者庁長官に届出された122食品中51編の届出SR(システマティック・レビュー)の報告方法を検証したものです。その結果、多くの届出SRが国際規範のチェックリストに基づく記述を履行していなかったり、不十分な記載であったり、記載すべきことを記載していなかったなど、問題多いことが指摘されました。これは「届出ガイドライン」の趣旨を遵守していないことを意味します。

しかし、公開された報告書はどの商品の届出SRが問題なのか特定していません。不十分な届出SRに基づき販売されている機能性表示食品が多数あることが判明したものの、その該当商品を消費者は知る術がありません。

しかも、消費者庁の事後調査には、実際に市販されている機能性表示食品の買上調査も含まれていますが、その報告書はいまだに公開されておらず、成分量が表示通りではない商品が販売されていても、消費者にはそれがどの商品なのか、皆目わからない状況が続いており、かつ不当表示の恐れがあります。

機能性表示食品は事業者の責任で科学的根拠に基づき表示されるものですが、その科学的根拠への不十分性とデータへの疑惑が消費者庁の調査でも指摘され、その上、パッケージごとに含まれる成分量が異なるなど品質管理のずさんな機能性表示食品の販売が判明したにもかかわらず、消費者庁はその該当商品名を明らかにしていません。消費者庁は、事後調査結果で問題が指摘された届出商品について、正確に、あますところなく早急に公開すべきです。

私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」は、拙速な議論のもと事業者の利益だけを優先して導入された機能性表示食品制度の欠陥性を指摘し、その早期廃止を求めてきましたが、今回の事後調査結果は同制度の根幹を揺るがす深刻な問題を指摘したものとして重視しています。そこで私たちは消費者の権利の実現へ向け、以下のように、商品名を含む早急な情報公開を消費者庁に求めるとともに、食品の各保健機能表示制度に関する総合的・一元的見直しを求めます。なお、下記項目に対して8月19日までに文書でご回答いただきたく、よろしくお願い申し上げます。

1.調査結果で判明した不十分なSRに基づき販売されている商品・企業名を明らかにすべきです

消費者庁「報告書」は、届出SRの報告内容が不十分で、ガイドラインに準拠していない報告内容である商品が多数販売されていることを明らかにしました。制度の根幹を揺るがす事態であることを受け止め、消費者被害の未然防止へ向け、速やかに商品名の公開を実施すべきです。

2.調査結果で判明した成分量の差異など同一商品なのに品質にバラツキがあり、表示と成分量が異なっている機能性表示食品の商品名を公開すべきです

いまだに公表されていない事後調査結果の中に市販商品の成分量分析検証結果があります。表示と成分量に無視できない差異があったり、パッケージごとに成分量が異なる商品の存在が判明したのに、それがどの機能性表示食品なのか、消費者に情報提供されていない状況は、消費者の知る権利、選択する権利の侵害に当たります。

3.事後調査結果に関する情報公開をもっと迅速に実施すべきです

今回の調査は昨年10月末日までに届け出た食品を対象としていますが、それ以降の調査結果についても早急に実施し、結果を迅速に公表するべきです。

4.「販売前の届出資料開示制度」の運用状況は「届出ガイドライン」に違反しています。同制度の2つの目的に適合するよう速やかに運用を改善すべきです

「販売60日前の届出」と「販売前の届出資料開示」は、次の2つの目的を持ち、消費者の知る権利と安全の権利の確立に寄与する一体的制度として導入されました。

①「科学的根拠が不十分な製品の流通防止を図る」

②「誰もが製品の安全性及び機能性に関する科学的根拠情報を得られるようにする」

ところが①についての現状は、科学的根拠が不十分な「届出SR」による科学的根拠の不十分な製品が流通していることが今回の「事後調査」で判明し、②についても、製品の安全性及び機能性に関する科学的根拠を販売前に得ようとしても、公開期間がわずか1週間にも満たない製品もあり、誰もが科学的根拠情報を得られる状況にはなっていません。

この状況はガイドライン違反です。「販売60日前の届出」と「販売前の届出資料開示」の2つの制度を一体的にとらえ、「販売60日前からの資料開示」を原則とする制度へと運用を見直すべきです。

5.消費者被害防止を図るために厳格に法執行を推進すべきです

表示と成分量が異なる商品については、法律違反(食品表示法・景品表示法等)として毅然と対処し、措置命令、課徴金命令、及び市販中止などの対応をとり、その事実を公開して下さい。違反が疑われる機能性表示食品が販売され続けている事態は行政の怠慢を示しています

6.機能性表示食品制度の見直しを特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品制度とともに総合的・一元的に実施すべきです

今回の事後調査では、3,000人の消費者アンケートも実施され、これら食品について「疾病診断・治療・予防を目的としたものではない」と認識している人が5割にとどまっていることも判明しました。このような消費者の混乱は制度そのものの欠陥性を背景にしているものと考えます。消費者被防止へ向けて、食品の保健機能表示制度全般を総合的・一元的に再検討すべきです。

以上

5月20日 「健康食品の表示・広告の適正化に向けた対応策と、特定保健用食品の精度・運用見直しについての建議」へ要望書を提出しました。

2016年5月20日、内閣府消費者及び食品安全担当大臣および消費者庁長官、消費者委員会委員長へ、「健康食品の表示・広告の適正化に向けた対応策と、特定保健用食品の精度・運用見直しについての建議」についての要望書を提出しました。
建議への要望書

  消費者委員会は4月12日、消費者担当大臣に対し、特定保健用食品(トクホ)制度を中心とする「健康食品の表示・広告の適正化に向けた対応策と、特定保健用食品の精度・運用見直しについての建議」を提出しました。食品事業者をはじめ、広告・チラシ作成事業者及び新聞・テレビ媒体など健康食品関連事業者すべてがトクホの制度の趣旨を理解していないことを7500人の消費者アンケート調査結果に基づく同委員会専門調査会報告書をもとに提起したものです。「早急な対応を求める」という10項目と「しかるべき対応を求める」という6項目の合計16項目を提起しており、制度運用の見直し、再審査の厳密性、指導指針の改訂、消費者への情報提供の推進などを求めている点で注目されています。

しかし、同「建議」にはなお、トクホ制度改善には不十分な点が散見し、消費者被害の防止と救済に実効性の伴わない項目や、資料提出命令権を持つ消費者委員会の建議としては甘い内容も目立ちます。何よりも、トクホと機能性表示食品制度との混乱が消費者の間でまん延している中にあって、保健機能食品(トクホ、機能性表示、栄養機能表示等)の総合的・一体的な検討を避けている点は最大の問題と考えます。

私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」は、建議が含む以下の点の問題点を指摘し、関係省庁が消費被害防止への早急な対応をとることを求めます。

1.トクホ制度に「更新制度」を導入すること

トクホ更新制度の必要性は7年前の有害物質の混入も問題化した「健康エコナ問題」における重要な教訓です。早急に制度導入を求めます。更新制度を導入しないままの再審査制度の厳密性を提起しても実効性はありません。

2.「体験談」表示を禁止すること

有名人を起用した体験談や摂取者による体験談には、商品のネガティブ情報は一切記載されていないばかりか、未体験者に商品購入を勧誘する効果を発揮しています。体験談表示は「ステルスマーケティング」の一種とも考えられ、消費者をあざむく表示とも位置づけられます。体験談表示を前提とした表示規制は実効性が伴いません。

3.健康増進法や景品表示法の違反要件である「著しい」という規定を早急な対応として削除すること

消費者委員会の「建議」は、「しかるべき対応」6項目の一つに健康増進法の違反要件である「著しく事実に相違する表示」などの「著しい」という文言を法律から削除することの検討を要請しつつも、「早急な対応」項目では「著しい」表示の具体例を提示することにとどめ、二段階方式をとっています。しかし、これでは、「著しい」という文言はいつまで経っても削除されることがありません。法規定の改正は「しかるべき対応」ではなく、「早急な対応」こそ必要で、この場合には健康増進法だけではなく同様の文言を明記している景品表示法も同様です。

4.健康被害情報の報告義務制度を導入すること

国が許可するトクホ表示にあっては、国が責任をもって健康被害の収集・分析・公表を実施すべきです。過剰摂取や医薬品とのあわせのみを実施する消費者が多い中、健康被害の潜在化の可能性が心配されます。被害防止を迅速に図るために食品事業者に対する被害情報の報告義務付けが必要です。

5.現行の「保健機能食品制度」(トクホ、機能性表示食品制度、栄養機能性表示食品制度)を総合的・一体的に検討し直すこと

トクホを含めて3つの保健機能食品制度が併存する現状は、消費者だけではなく、事業者にとっても混乱以外のなにものでもありません。不十分な制度の違いを消費者教育や消費者への情報提供で補おうとするのではなく、3制度を総合的・一体的に見直すことが緊急の課題です。

6.食品表示法の「申出制度」を「日本版スーパーコンプレインツ制度」へと改訂すること

昨年4月施行の食品表示法には消費者はじめ何人(なんぴと)も不当な表示について申し出ができる「申出制度」が導入されました。しかし、現在の「申出制度」では、申し出者に結果が通知されることのない運用実態であることから、不当な表示として消費者が申し出ても、その後の行政対応が不透明であり、消費者の参画を阻むことにつながっています。現行の申出制度の運用実態を改善するか、食品表示法を改正して現行申出制度を申出者への通知義務を行政に課すこと、さらに行政措置について消費者が不服申し立てできることを保証した「日本版スーパーコンプレインツ制度」の早期導入を求めます。

※イギリスでは消費者団体等により提起された問題を早急に調査し、90 日以内に明確な対応策を公表するスーパーコンプレインツ制度があります。

以上

5月19日 「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」パブコメを提出しました。

5月19日 消費者庁が意見募集する「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」へパブリックコメントを提出しました。
パブリックコメント

1.景品表示法及び健康増進法で規定されている「著しく優良」「著しく有利」「著しく事実に相違」「著しく人を誤認」の「著しく」および「著しい」という文言の説明は、当「留意事項」の事例説明では極めて分かりにくいものです。この文言は本来、法文からの削除による法改正が必要と思われますが、現行の法運用にあたってはこの文言規定にとらわれることなく幅広く執行・処分ができることを明記してください。

2.現在最も多用されている「体験談」表示を原則禁止し、世界的に禁止規制が導入されている「ステルスマーケティング」について、その定義を明確にし、そこへの規制が及ぶことを明記してください。当「留意事項」では、インターネット口コミサイトについて「著しく誤認させる」場合などの規制事例が記載されていますが、口コミサイト表示も体験談表示も消費者を騙すステルスマーケティングとなる要因を常に併せ持つ表示です。当「留意事項」では当面は体験談表示を原則禁止にすることを求めます。

3.P6などにある「健康増進法の規制の対象となる者」に関する記述中で、虚偽誇大表示について「直ちに、広告媒体事業者等に対して健康増進法に基づく措置をとることはない」という文言を削除してください。その上で、虚偽誇大表示を実施した健康食品の製造業者・販売業者ともども、その広告に関わったすべての事業者が一蓮托生に規制対象となることが明確になるように修文してください。

以上

景品表示法および健康増進法留意事項について 消費者庁

4月4日 自民党国会議員の暴力行為に対して抗議書を提出しました。

2016年4月4日、自由民主党の安倍晋三総裁、自由民主党谷垣禎一幹事長、自由民主党山田俊男参議院議員に対して、下記の通り抗議書『自由民主党・山田俊男議員は誠意ある謝罪を~国会議員のおごり、慢心、ごう慢、国民愚弄に厳重に抗議します~』を提出しました。

自民党・国会議員への抗議書

【抗議書】

政府を代表する閣僚や国民から選出された国会議員の資質が問われる言動が相次いでいる中、今度は、発言の真意を質そうとしJA関係者に対し、「何言ってんだ、本当にぶんなぐるぞ」などと威嚇・恫喝し、無抵抗の人の胸部を数度にわたり拳で強く殴打した国会議員の卑劣な暴力事件が発生しました。

これは3月18日、自民党農林水産業骨太方針策定プロジェクトチームの会合が行われた会議場において、食品表示改善へ向けて共に検討してきたJA関係者が、自民党参議院・山田俊男議員の加工食品の原料原産地表示をめぐる一連の不明朗な発言について、その明確さを求めて同議員に真意を質そうとしたときに凶行されたものです。

この山田議員の行為は、決して許されるものではありません。山田議員の短絡さ、狭あいさ、相手の主張を暴力で封じ込めようとした安直さ、このことが、政権与党自民党所属の国会議員という権力を持つ者の行為として、私たちは事態の深刻さにあんたんたる気持ちを感じます。

被害者によると、殴打された左胸部は赤く腫れあがり痛みの伴う打撲傷を負い、医療機関から全治一週間の診断書が出ているということです。しかし、山田議員は、2週間以上経った今日に至るも、被害者に一片の謝罪をすることもなく、自らの恥ずべき行為について、自ら反省することもなく、事態の深刻さと重大性から目をそむけています。

相手の言論を力で封じ込め、聴く耳を持たずに、自らの主張を押し通そうとして暴力に及ぶ行為は、相手を人として尊重していないばかりか、むしろ人を愚弄する卑劣な行為です。それが国会議員によって凶行されたことに、私たちは強い憤りを覚えます。この憤りは、消費者・国民から付託された権力を持つ者の大いなる誤解、権力者のごう慢、慢心、おごりなどに対する消費者・国民の当然の心情です。

政権与党自民党にあっては、このような消費者・国民の憤りに対して、真摯に対応すべき責務があります。

本来、国会議員は民に先んじて憂い、民のあとでの楽を望む利他の心柱を兼ね備えた政治家であるべきと考えますが、今回の山田議員の行為は、国会議員として体現すべき信頼感を地に落としこめ、自民党のコンプライアンス体制にも重大な疑問を投げかけるものでもあります。

私たちは山田議員の暴力行為に厳重に抗議し、以下のように要望を提起するとともに、関係各位に迅速な対応を求めます。

1.山田俊男議員は、当該被害者に誠意ある謝罪をして下さい

2.自由民主党は政権与党としての責任を果たすために、今回のような党所属国会議員のおごり、慢心、ごう慢、国民愚弄などの言動について、衿を正して厳しく対処して下さい

以上

【参加団体】 食の安全・監視市民委員会/主婦連合会/新日本婦人の会/生活クラブ連合会/グリーンコープ共同体/大地を守る会/NPO法人日本消費者連盟/遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン/我孫子市消費者の会/千葉県消費者団体連絡協議会/東京都地域消費者団体連絡会/たねと食とひと@フォーラム

NPO法人食品安全グローバルネットワーク

1月28日、食品安全監視体制の抜本的強化・充実を求める要望書を提出しました。

2016年1月28日、内閣総理大臣および、厚生労働大臣、農林水産大臣、環境大臣、消費者及び食品安全担当大臣、消費者庁長官宛てに、要望書「食品安全監視体制の抜本的強化・充実を~教訓化されない汚染米事件、廃棄ビーフカツの再販売事件は氷山の一角です~」を提出しました。

食品安全監視体制の抜本的強化・充実を求める要望書

1月13日に発覚した廃棄対象食品の「横流し・再販売事件」は、日本の食の安全性がまったく確保されていない危険な状況に置かれていることを示しました。端緒となった大量のビーフカツを販売していた店舗数は愛知県だけでもビーフカツの65施設、弁当製造の24施設、卸売業者20事業所にものぼっています(1月21日現在)。食べてはいけない「横流し食品」はビーフカツに留まらず、チキンカツ、びんちょうマグロ、フライドポテト、チョコレート、お菓子、竹の子煮、ソーセージ、味噌、インスタント味噌汁など108品目にまで拡大し、それらほとんどの流通先はいまだ不明のままです。広域・大規模な違反食品販売が放置され続けてきたことが明らかになっています。

管轄行政機関による調査はいまだ終結をみていませんが、私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」は、今回の事件発覚が、店舗で市販品を偶然に見た関連従業員による通報を契機としたことを考えると、食品安全監視体制がほとんど機能していない全くの「無法地帯」となっている実態を示したものであり、今回のような危険食品の違法販売は氷山の一角であると断言せざるを得ません。

今回の事件は2008年の「事故米不正転売事件」(工業用の汚染米を食用として横流ししていたことが発覚し、米トレーサビリティ法制定の契機となった事件)をまったく教訓化しておらず、食品の安全性を省みない、ただただ事業者利益のみを優先した、消費者の安全の権利を踏みにじる極めて重大な悪質行為と位置付けられます。国内製造品のみならず、日々増加している輸入食品への監視チェックの不十分性をも示唆するものであり、消費者の食品全般への不安感をいっそう高めることとなりました。

さらに1月21日には、福島県内の小中学校でヒスタミン食中毒事故も発生しました。加工会社から納入されたサンマのすり身が、事業者間取引の過程で期限表示ラベルがはがされ、冷凍保存され、消費期限を5カ月も超過したまま、給食の食材として利用されてしまい、87人もの児童・生徒などが生命を危険にさらされる重大なヒスタミン中毒の被害を被ったという深刻な事故です。より安全であるべき給食の食材も一向に安全ではないことが明らかになりました。適正な表示・情報が事業者間で伝達されないままのトレーサビリティ不在と食品安全監視機能不全の現状は、今後も重大事故を招く温床ともなっています。

私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」は、これら一連の事件・事故で明らかになった点を示すとともに、以下のように、早急な食の安全監視体制の抜本的強化・充実を求めます。

◎これらの事件・事故で明らかになったこと

(1) 廃棄対象食品に関する処分実態の不透明性

■食品メーカー等廃棄委託事業者の廃棄作業の確認・チェックの不十分性

■管轄行政機関の廃棄事業者の確認・チェックの不十分性

■再流通・再販売などの違法食品に関する販売事業者の確認・チェックの不十分性

■再流通・再販売品などの違法販売品に関する表示監視の不十分性

■トレーサビリティ体制(追跡可能体制)の不十分性と行政監視機能の欠落

(2) 自主回収食品の対応実態の不透明性

■自主回収食品の廃棄及び改善後に再流通する際の監視チェックの不十分性

■自主回収食品の改善後再販売される際の表示の不十分性

以上の問題点を踏まえ、下記項目を要望します。

1.廃棄物処理法、食品リサイクル法等の運用・監視機能の強化を

■契約書・マニフェスト(産業廃棄物管理票)・帳簿類の監視・チェック体制強化

■飼料・肥料・堆肥等へのリサイクル転用に関する監視・チェック体制の強化

2.食品安全監視体制充実への人員・予算の拡充と食品トレーサビリティ法の制定を

■食品添加物を含む食品表示監視全般について消費者庁だけではなく厚生労働省・農水省と共管・連携する体制の整備・充実を図ること

■国内流通食品の品質・表示に関する監視体制の強化・充実を図ること

■食品衛生法を改正し、申告制度を導入すること

給食の食材を含む食品全般を網羅した食品トレーサビリティ法制度を制定・導入すること

3.輸入食品の監視体制の強化を■輸入食品における積戻しや廃棄対象食品等の処分実態の調査と結果の公開

■輸入食品表示の監視を消費者庁と厚生労働省の共管とし、監視・チェック体制の整備・強化・充実を図る

4.食品を含むすべての消費者関連商品・製品対象の「リコール基本法」(仮称)制定を

今回の事件では、違反食品摂食による事故発生が明確でないことへの懸念や、自主回収品等の処分実態が不明な商品があること等が問題となりました。事態改善には、私たちが従来から主張してきたように、すべての消費者関連商品・製品のリコール対応について、事業者・行政の責任等を明記した業界横断的な「リコール基本法」(仮称)の制定も急務と考えます。同法には次の規定を盛り込むことが必要です。

■安全性に関連した自主回収の報告義務化の創設と違反事業者への罰則導入

■食品を含むすべての消費者関連商品・製品に関する輸入・製造業者、流通・販売事業者を対象にした事故情報報告義務化と事故情報公開制度の導入

■回収商品・製品の対応状況に関する消費者への情報提供や廃棄を担う環境行政と消費者行政との連携した取組の確保・推進等、透明性を確保する旨の規定等。

以上

1月25日、「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会」開催にあたっての要望書を提出しました。

2016年1月25日、農林水産大臣および内閣府消費者及び食品安全担当大臣、消費者庁長官、加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会委員宛てに「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会」開催にあたっての要望書を提出しました。

原料原産地表示検討会への意見書

消費者庁と農林水産省は共催で、1月29日に「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会」をスタートさせる運びとなりました。加工食品の原料原産地表示の拡大は、食品表示法制定時に食品添加物表示や遺伝子組み換え食品表示の改善とともに、「積み残された課題」として提起されていたもので、早急な実現が求められます。

私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」は、これまで商品選択のかなめである食品表示について、適切で正しい表示の実現と、まぎらわしくあいまいな表示の排除を求め、消費者目線からの適正な表示制度導入こそが必要と訴えてきました。加工食品の原料原産地表示はその重大要求の一つですが、これまでの数年来の検討結果が事業者の利益を優先するあまり、消費者の知る権利、選択する権利などの消費者の権利をまったく省みない結果に終始していたことは否めません。そこで、私たちは、「検討会」開催にあたって次の点を強く要望します。

 1.明確に、加工食品の原料原産地表示実現を前提とした検討として取り組むこと

これまでの検討では、「事業者の実行可能性」のみが重視され、消費者の選択のための表示実現を阻む大きな要因となっていました。検討会スタートにあたっては、消費者に軸足を置く消費者行政の真価が問われていることを消費者庁・農林水産省及び各委員が認識し、加工食品の原料原産地表示の実現こそが目的であると位置付けてください。

2.現行の「義務対象品目の選定要件」を廃止し、原則、すべての加工食品に原料原産地表示の義務化を

加工食品の原料原産地表示については、これまで義務対象品目について2項目の選定要件が指定され、そのもとで22食品群と4品目(個別義務)の表示が実施されてきました。この選定要件が表示対象品および表示拡大の壁となり、日本の加工食品における原料原産地表示の実現を遅らせてきた要因となっています。検討会では下記の「選定要件」を廃止し、原則として、すべての加工食品の原料原産地表示を実現させることを検討してください。

選定要件

①原産地に由来する原料の品質の差異が、加工食品として品質に大きく反映されると一般的に認識されている品目のうち

②製品の原材料のうち、単一の農畜水産物の割合が50%以上である商品

3.冠食材の原料原産地表示も義務化を

商品名に名称が付されたものは、その原材料の原産地の表示を義務付けるべきです。(例えば、商品名が「エビピラフ」の場合、「エビ」の原産地名の表示)

4.外食、ばら売り、通信販売、ネット販売等、販売の多様化にあわせ表示義務化を

消費者が利用する外食・中食や惣菜、インストア食品などにおいても原料原産地表示が求められます。外食についてはガイドラインなどで運用されていますが、販売店ごとに整合性を欠き、不十分です。消費者目線から義務化対象に含めるべきです。

5.食品添加物の原料原産地表示についても義務化を

現在使用されている食品添加物の中にはほとんど海外で製造されている「ビタミンC」などの製品もあります。食品添加物にも原料原産地表示が必要です。

6.加工食品の原料原産地表示制度を担保するトレーサビリティの充実を

現行の表示制度は原則的に最終商品を対象にし、加工業者など中間業者に適切な情報が伝わらないと正しい表示が実施されない制度となっています。加工食品の原料原産地表示の実施にあたっては、事業者間取引においても表示の義務化が必要であり、それを担保するためのトレーサビリティシステムの導入を図るべきです。

7.検討にあたっては、消費者の意見を聞く場を設けること

消費者にとって分かりやすく、商品選択のために必要な情報が表示に記載されることが重要です。そのためには消費者の意見を反映させる必要があります。検討会において、議論の取りまとめを行う前に、消費者の意見を聞く場を設けることを要望します。

以上