消費者庁において、10/7と11/23に提出した意見書の回答を聞く会を持ちました。

食品表示を考える市民ネットワークは、10月と11月に意見書を消費者担当大臣、消費者庁長官、消費者委員会委員長宛に提出し、その回答を求めました。前回同様、消費者庁は文書で回答できないとのことで、12月16日中央合同庁舎4号館で、意見書の回答を聞く会を持ちました。消費者庁からは、保健機能食品担当者等2名が出席しました。回答の概要は以下の通りです。なお、意見書は、当ネットワークのホームページに掲載しています。
http://foodlabeling-net.main.jp/label/
意見書「トクホ違反横行に抗議します~保健機能食品制度の総合的抜本改善を~」(10月7日)
  1. 消費者庁は、今回の「事件」を時系列的に究明し、日本サプリメント社が販売した問題トクホの販売数、売上額を過去にさかのぼって総合的に明らかにし、公表すること。特に、「事件」発生の原因究明に速やかに取り組み、同社が違反に至った要因と消費者庁の監視・チェックの実態、その課題、事前に違反を把握できなかった要因を明確にすること
消費者庁回答:健康増進法の制度上、チェックすることができなかったが、今後、防止策・品質管理の徹底などに取り組んでいく。
  1. 消費者庁は、「事件」公表後の日本サプリメント社の消費者対応を把握し、問い合わせ電話がつながらない消費者苦情がまん延していることを重視し、消費者目線からの消費者対応をとるよう同社を指導すること
消費者庁回答:トクホ全体の根幹を揺るがしかねないため、消費者庁長官は日本サプリメント社社長を呼び、電話回線を増やし、袋を捨ててしまった消費者にも丁寧に対応するよう求めた。
  1. 消費者庁はあらゆる執行法律を勘案し、日本サプリメント社に対し、課徴金の賦課をはじめ、厳しい法的処分を下すこと
消費者庁回答:課徴金は景品表示法においてとなる。個別事業については答えられない。措置命令を出した時だけ事業者名等を公開している。
  1. 消費者庁は、公益財団法人日本健康・栄養食品協会に要請した10月26日を期日とする調査結果を公開すること。あわせて、今年5月に機能性表示食品検討会で報告した機能性表示食品の事後調査の結果も早急に公開すること。いずれの公開も実施しない場合はその理由を説明すること
消費者庁回答:今回の調査結果は、11月29日にすべて公表した。機能性表示食品の研究レビューは、7月に公開し、事業者から変更届が届いている。成分の分析方法が十分でないため、改めて有識者に分析結果の検証を依頼している。
  1. 消費者委員会は、今回の「事件」についてトクホ許可の審査に関わる消費者委員会として、その自らの態度を、意見・提言・建議などいずれの形態にかかわらず、消費者・国民及び消費者庁に対して文書で明らかにすること ⇒消費者委員会への意見のため回答無し
  1. 消費者委員会は、消費者庁および関連省庁のトクホ関連施策について、消費者目線から調査し、今回の「事件」がなぜ発生したのか、なぜ防止できなかったのか、その責任所在も含め、再発防止への政策提案を提示すること ⇒消費者委員会への意見のため回答無し
  1. 消費者委員会は、平成23年6月23日付の「特定保健用食品の表示許可制度専門委員会」報告書で更新制度導入の検討を消費者庁に求めている経緯を重視し、同制度を早急に導入するよう消費者庁に働きかけること ⇒消費者委員会への意見のため回答無し
  1. 消費者の信頼回復と適正な表示制度へ向けて、トクホ、栄養機能食品、機能性表示食品など各種保健機能食品制度を総合的・一元的に捉え、それら現行制度を抜本的に改善する検討に早急に着手すること
消費者庁回答:トクホについては2月に省令改正を公布する予定。
消費者庁から12月14日に開催された規制改革推進会議第6回医療・介護・保育ワーキング・グループで検討された機能性表示食品制度についての説明があった。推進会議から消費者庁の届出確認が遅いので早くするよう迅速性を求められた。消費者庁としては、安全性が重要と回答したら、それは事後チェックで行なえばよいとのことだった。
 【参考:第6回医療・介護・保育ワーキング・グループ資料】

以上

■意見書「保健機能食品の事後チェック体制の整備・強化を」(11月23日)
  1. 事故情報(健康被害情報)の報告を義務化すること

今回不適正な成分量が判明した特別用途食品は、許可64品目中の2品目です。商品分類は「低たんぱく食品」であり、病院の患者用食品として活用されたり、また通信販売によって自宅療養の腎不全の方々に提供・利用されたりしてきました。許可されて以降、この規格外食品がいつから販売され、なぜ防止できなかったのか、今の段階では明確ではありません。消費者庁は「健康被害の報告は寄せられていない」「事業者からもそのような報告はない」としていますが、健康被害情報(事故情報)の報告義務がすべての医療機関をはじめ、事業者に課せられていない現状ではその確証はありません。健康に影響を与える食品だからこそ健康情報の一元的収集体制の整備は急務です。当面は緊急性を重視し、保健機能食品全般を対象とした「事故情報(健康被害情報)の報告義務化」を導入してください。

消費者庁回答:食品衛生法上で義務付けられており、網羅している。
  1. 事後チェック体制を制度として確立し、そのチェック結果を事業者名・商品名を含めて公表する制度として導入すること

今回のトクホや特別用途食品の全品調査要請は“日本サプリメント事件”が発端です。全品調査を同事件への対応として一過性のものとして扱わずに、制度として継続的に位置付けてください。そもそも日本サプリメント事件は、事後チェックが実施されていない制度上の欠陥を一因として発生したものです。市販後チェック体制を国の責任として導入するとともに監視結果の公表が必要です。事後チェックと結果の公表は必須です。

消費者庁回答:定期的に第三者機関による調査を行い消費者庁に報告させる。現在、省令改正案のパブリックコメント募集中、公布2017年2月、次長通知3~4月の予定。
  1. 実効性ある再審制の運用と共に、早急に更新制を導入すること

トクホの全品調査では、1271品目中903品目が、現在販売されていない品目として指摘されました。そのうち668品目は、販売休眠中ながら再販売される可能性のある商品とも推測されます。また、販売されている366品目の中には、長期間継続販売されているものもあります。消費者庁は一度許可したトクホをチェックすることもなく、漫然と許可し続け、その結果、現在の深刻な無責任体制が定着してしまいました。平成23年に消費者委員会専門調査会が要求したように、更新制度を導入すべきです。それを導入するまでの間は、内閣府令で規定する再審制を確実に運用し、また、再販売トクホなどに対して一定の条件を設定し、再審査に付す仕組みを導入してください。

消費者庁回答:現在販売中のトクホは消費者庁で把握している。更新制ではなく既に販売されているものを年1回第三者機関による検査を行い、その結果を提出してもらう。健康増進法では、6つの第三者試験機関が認められている。
許可の取り消し規定は、28条第1項①国が定めた事項を表示していないとき、②虚偽の表示をしたとき、③新しい科学的知見により現在の表示をすることが適切でないとき、の3項目。
  1. 許可の取消規定を厳格に運用し、休眠中のトクホには失効を促す仕組みを導入すること

トクホや特別用途食品では、許可取消要件が規定されていますが、これら取消規定の運用は極めてあいまいで、3月のライオン社製のトクホ問題のように虚偽表示でありながら取り消されないこともあります。表示と実態の違いなどを理由とする許可取消要件はあいまいなままとなっています。また、今回の特別用途食品の不適切な成分含有量の問題に示されたように、取消ではなく事業者による失効届けで対処される例もあります。取消規定を厳しく運用してください。

消費者庁回答:届け出後休眠しているものについて、事業者へ失効届を出すか否かのアンケートを実施。161社中36社86品目の失効届があった。その他については、11月9日付課長名で失効届を3月までに提出するよう通知した。失効届が出たものについては、届け出一覧から消える。
  1. 規格に合致しない不正な保健機能食品の販売が判明した場合は、販売中止だけではなく、速やかに回収させるとともに行政処分を迅速に課す措置を講ずること

保健機能食品は食品の中で特定の保健機能が表示できる食品であり、成分や成分量について申請通りでない場合は健康被害発生の原因ともなります。それは機能性表示食品についても同様です。この点を重視し、不正発覚の段階で販売中止とリコールなど早急な対処がとれるよう、迅速な処分措置が講じられる仕組みを検討してください。

消費者庁回答:食品表示基準第6条8項に基づいて回収できる。
  1. GMP(製造・品質管理基準)及び第三者評価を義務付けること

機能性表示食品を含む保健機能食品の全製品を対象にGMPの義務化や申請・届出資料に第三者評価結果の添付を義務付けること。

消費者庁回答: 25~26年に販売されたサプリメント形状の8割は、GMP、HACCP、ISOなど何かしら取得しており、製造工程管理をしている。
  1. 以上の改善策の実現に向けて、総合的・一元的検討に着手すること

健康増進法で規定されるトクホと特別用途食品、食品表示法で規定され、事業者の責任で表示できる機能性表示食品など、現在の監視・評価体制がバラバラの保健機能食品制度を総合的・一元的に見直すことが必要です。

 消費者庁回答:トクホについては、消費者委員会の意見を踏まえて、2月に省令公布。機能性表示食品についてはガイドラインを改正し、「機能性関与成分が明確でない食品」を追加する。ビタミン・ミネラルの機能性表示については、専門家を踏まえて栄養機能食品制度の中で検討することになった。

以上

2012年11月22日 消費者庁主催・新食品表示制度についての意見交換会に参加

2012年11月22日、食品表示を考える市民ネットワークの構成団体は消費者庁が主催する新食品表示制度についての意見交換会に参加し、加工食品の原料原産地表示拡大に向けての提言をしました。

食品表示を考える市民ネットワーク
加工食品の原料原産地表示拡大に向けての提言
食の安全・監視市民委員会
消費者のためとなる新たな食品表示法の制定を求める意見書
生活クラブ連合会
加工食品の原料原産地表示 ―韓国でできてなぜ日本でできないのか―
2012年11月22日 | カテゴリー : 意見交換会 | 投稿者 : admin

2012年10月24日 食品表示法制定への要望書を提出しました。 

2012 年 10 月 24 日、食品表示を考える市民ネットワークは消費者庁が主催するワークショップ(消費者との意見交換会)に参加し、内閣府消費者及び食品安全担当大臣と 消費者庁長官へ「食品表示法制定への要望書」を提出しました。

食品表示制定への要望書

 

 

2012年3月23日 消費者庁主催・食品表示一元化検討会 中間論点整理に関する意見交換会に参加  

2012年3月23日、消費者庁主催の食品表示一元化検討会中間論点整理に関する意見交換会が開催されました。食品表示を考える市民ネットワークを構成する団体も参加しました。

食品表示を考える市民ネットワーク資料
1.食品表示法の目的に食品表示が消費者の知る権利、選択の権利の保障を明記することを求めます
2.全ての加工食品の原料原産地表示の義務化を求めます
3.全ての遺伝子組み換え(GM)食品・飼料表示の義務化を求めます
食の安全・監視市民委員会資料
論点1 食品表示法に消費者の権利を明記すべきである
論点 その他 罰則の強化等
主婦連合会資料
論点1「食品表示制度の目的について」
論点2-1「新たな制度での表示事項」
日本消費者連盟1資料
日本消費者連盟2資料
総論 食品偽装や食の安全問題などについて、食品の情報を企業が公開し、消費者が食べたくない食品を選択できるようにする
各論 加工食品原料のトレーサビリティ制度の確立。遺伝子組み換え食品表示義務の拡大
アレルギー表示を厳格化すること。栄養成分表示を意義あるものに。食品にベクレル値の記載を
遺伝子組み換え食品いらないキャンペーン資料
遺伝子組み換え食品表示制度を改正しEU並みの制度を希望します
生活クラブ連合会資料
(1)食品表示一元化の目的に「消費者の権利」を明記すること
(2)加工食品の原料原産地表示の拡大が進むように法体系を整備すること
(3)遺伝子組み換え食品の表示義務の拡大が進むように法体系を整備すること