2014年8月22日 消費者庁「食品の新たな機能性表示制度に関する検討会報告書」への意見書を提出

消費者保護へ向け、健康被害情報の「報告義務・公表制度」の構築と監視・法執行体制の強化を~企業まかせの機能性表示 消費者被害の深刻化は明らかです~
「食品の新たな機能性表示制度に関する検討会報告書」への意見書

食品表示を考える市民ネットワークは8月22日、この報告書の内容の問題点を示すとともに意見を消費者担当大臣、消費者庁長官、消費者委員会委員長宛てに提出しました。

消費者庁の「食品の新たな機能性表示制度に関する検討会」は7月18日、第8回検討会を開き、消費者庁が提示した「報告書案」を概ね了承しました。それに基づき7月30日、同庁は検討会の意見を踏まえた「報告書」をまとめ、今後、食品表示基準案を策定、秋頃にはパブリックコメントを実施し、来年3月までに制度を導入する予定であることを発表しました。

検討会の「報告書案」は、「消費者・生活者の視点に立ち」「国民全体の利益を考える観点から検討」したとしながらも、その内容は消費者よりも食品事業者の利益優先を目指したものであり、高価で必要性に乏しい「いわゆる健康食品」による消費者被害を助長させ、「安全の権利」「知らされる権利」「選択する権利」「救済される権利」などの「消費者の権利」を尊重・担保する内容とはなっていません。同庁がまとめた「報告書」もその点への配慮は見られません。

「報告書」の各提案項目には、実効性の面で疑問の多い箇所があまりに散見されます。検討の参考にされた米国ダイエタリー・サプリメント制度は消費者保護を前提にした米国独自の法制度のもと運用されていますが、事業者の遵守規程の違反まん延により、その見直し・強化が志向されている最中にあります。「成長戦略」を優先し、米国の制度も十分に教訓化しない日本の機能性表示制度が、米国以上の制度的不備を招く可能性は否定できない、と思わざるを得ません。

もともと私たちは、「栄養機能食品」「特定保健用食品」といった「保健機能食品制度」及び「いわゆる健康食品」が並存する中にあって、新たに機能性表示制度を追加・併存して導入する措置は、食品表示のいっそうの混乱を招き、消費者被害を増長させることにつながりかねないとして、一貫して反対を表明して参りました。

今回提示された「報告書」は消費者被害増加への懸念を払拭するどころか、国の関与が不透明・不十分なために、表示制度の信頼性を担保すべき措置がなく、消費者被害をますます増長させる道を開くものと考えられます。