2014年9月12日 食品の栄養成分表示にトランス脂肪酸含有量の表示を求めて意見・質問書を提出

日本は表示後進国・日本の消費者は無権利状態に置かれています。トランス脂肪酸等、諸外国並みの表示の実施を求めます。

2014年9月12日、消費者担当大臣、消費者庁長官、消費者委員会委員長宛てに、食品の栄養成分表示にトランス脂肪酸含有量の表示を求める意見・質問書を提出しました。

栄養成分表示にトランス脂肪酸含有量の表示を求める意見書

新聞報道等によると、香港で販売されているロッテ社の「コアラのマーチ(ストロベリー)」には、トランス脂肪酸の含有量が表示されており、その値は100グラム中、4.8グラムとのことです。これは一箱当たり2.4グラムになり、WHO(世界保健機関)が一日の摂取目標値とする2グラム以内を超えています。

また、飛行機内で提供されるフランス産ハーゲンダッツアイスクリームには、トランス脂肪酸が一箱中0.4グラム含有されていることが表示されています。これら商品は日本でも同様の名称で販売されているものばかりですが、日本ではトランス脂肪酸の含有量表示はありません。

しかも、香港で販売されている「コアラのマーチ」には、キャラメル色素が食品添加物として添加されていますが、同添加物はキャラメル色素の中でも発ガン性が指摘され、国際的にも問題となっている「4ーメチルイミダゾール」(4‐MI)を含むカラメル(Ⅳ)であることが表示からわかります。しかし、日本では、キャラメル色素の表示はありますが、それが「4‐MI」であることはわかりません。この合成色素は、2012年に清涼飲料への添加をめぐり、アメリカの消費者団体が問題視し、日本でも消費者団体が、消費者庁及び消費者委員会等に迅速な対応を求めたものです。

表示によって含有成分がわかるのは、日本に比べ諸外国の方が食品表示制度の整備が進んでいるからです。このことは、日本の消費者は諸外国の消費者に比べ、合理的選択ができない「無権利状態」に置かれていることを示しています。トランス脂肪酸やリスクの高い添加物が含まれていても、日本の消費者はそれを避けることができません。これは単に「消費者の権利」が無視されていることを意味するだけではありません。できるだけ避けるべき成分として行政自ら懸念するトランス脂肪酸について、その後行政が何ら対応しない、いわば”怠慢行政”が続いていることも示しているのです。

これら問題は、今回の食品表示基準案策定で検討が回避されてきたものばかりです。このような消費者の無権利状態を早急に改善する必要があります。そこで私たちは、次の点について質問するとともに、関係機関が迅速な対応に着手し、早急に諸外国並みに表示を整備されることを要求します。9月24日までにご回答をお願いします。

【記】

1.食品安全委員会はトランス脂肪酸の「健康影響評価結果」の中で今後の課題として「脂質に偏った食事をしている個人においては摂取量のエネルギー比が1%を超えていることがある」「トランス脂肪酸はできるだけ摂取を少なくすることが望まれる」などと指摘し、「今後も留意が必要」と提案しています。これら留意事項の具体的施策実施についてリスク管理機関に2年前に要請したものですが、同要請に対し、消費者庁及び消費者委員会は、現在、具体的にどのような対応をとられていますか。

2.香港で販売されている人気のお菓子「コアラのマーチ(ストロベリー)」には、100グラム当たり4.8グラムのトランス脂肪酸が含有されていることが表示されています。この含有量は一箱約50グラム食べるとWHOの一日の摂取目標値である2グラム以内を超えてしまう量です。日本でも同じ名称の商品が「コアラのマーチ(いちご)」として販売されていますが、事業者は消費者からの問い合わせに対し含有量を回答しません。消費者への積極的情報提供を消費者庁は指導していますが、その指導が軽視されている現状をどうお考えですか。

3.香港で販売される「コアラのマーチ(ストロベリー)」には、記載表示から発ガン性が問題になっているキャラメル色素の一つ「4‐MI(4‐メチルイミダゾール)」が添加されていることがわかります。しかし、日本の表示では判明しません。私たちはそのようなリスクの高い添加物の摂取を避けたいと考えていますが、表示が不備なために合理的選択ができません。この状態をどうお考えですか。どう改善させるのですか。

4.また、このキャラメル色素問題に対してはすでに2012年8月に消費者委員会や消費者庁に対し、速やかな対応を求める「意見書」が消費者団体から提起されていますが、消費者庁及び消費者委員会はどんな対応をしてきましたか。また今後、どのように対応する予定ですか。

5.香港はじめ米国商品には、トランス脂肪酸の含有量表示が義務付けられています。当然、錠剤・カプセル型ダイエタリー食品にも表示されています。しかし、日本で機能性表示制度の対象品には、トランス脂肪酸の表示義務について検討はなされていません。健康志向を背景に販売されるこれら「いわゆる健康食品」について、トランス脂肪酸の含有量表示を義務付けることは当然の対応と思われます。今後、調査を実施することはありますか。表示に関する今後の調査についてはどうお考えですか。

以上