2015年1月13日 健康産業新聞2014年11月5日号「主張」欄への公開質問

2015年1月13日、UMBメディア株式会社「健康産業新聞」編集長様宛てに昨年11月5日号「主張」欄への公開質問を行ないました。

【本文】

昨年11月5日号「主張」欄への公開質問

私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」は今年1月になって、貴紙「健康産業新聞」が、2014年11月5日号「主張」欄で、「(消費者委員会の食品)表示部会は、文書捏造の疑惑の委員にいつまで施策決定の議論をさせるのか・・・」という題のコラムを掲載していることを関係者からの情報提供で知りました。内容は個人攻撃を主体とした傲慢な姿勢に満ちたもので、取材不足と深刻な表示問題への極めて浅い認識で書かれたものと考えます(概要を別掲)。

私たちは、これまで食品関連の「いわゆる業界紙」にあっても、ジャーナリズム活動にかわりはなく、真実追求と真実報道を目的とした「言論の自由」を担う責任機関であると位置付け、どのような報道機関であっても取材に応じてきました。事実に基づく真実追求こそが、業界の適正化につながり、社会的信頼を醸成する道筋であり、その責任を「いわゆる業界紙」も担っていると考えてきたからです。

ところが、貴紙の「健康産業新聞」の「主張」欄は、主張の前提となる事実について、当時者への取材もないままに、食品表示問題への浅い認識と表現力の欠如もあって、かえって真実から遠ざかり、何よりも貴紙が俎上(そじょう)にあげているT委員(立石幸一委員)の社会的信頼性を失墜させ、結果として、食品業界全体の信頼感を喪失させる内容となっています。

報道機関は、「正しい情報提供」と「言論活動」という両面の内実が常に問われる社会的責任を担っています。言論活動の弱さを「情報提供」で補うことはできません。今回の「主張」欄は、はからずも、貴紙のコラム欄に示された「言論」がいかに思慮浅いものか、業界専門紙でありながら、前提となる事実の分析力がいかに危ういものであるかを物語っています。それだけにT委員(立石幸一委員)の名誉を一方的に損なう結果となり、人権を無視する内容となっています。「主張」欄を読む限り、貴紙は、食品業界のオピニオンリーダーであるかのように自らを位置づけられていますが、このような「主張」内容では、ますます、健康食品業界の社会的信頼感は失われていきます。

私たち「食品表示問題を考える市民ネットワーク」は、貴紙の2014年11月5日号「主張」欄に対し、以下の点について公開質問します。なお、ご回答は1月31日までにお願いします。ご回答については、当「ネットワーク」ホームページにて公開することをあらかじめ申し添えます。

【質問事項】

1.「事業者(代表)を自称するT委員」とは立石幸一委員のことであることは公開審議の出発点から公のことですが、「主張」欄ではなぜ、「T委員」と匿名にしているのですか。公開での発言であり、氏名も公開され、しかもそれが容易に特定できるのに、敢えて匿名にした理由は何ですか。また、個人批判を中心とする主張でありながら執筆者名を記載していないのはなぜですか。

2.T委員の「不規則発言」という言葉が何カ所かに登場しますが、どの発言が「不規則」なのですか。また、それを「不規則」と判断された理由は何ですか。

3.「事業者の多くが存続を求める固有記号」との記載がありますが、そう主張される根拠は何ですか。

4.T委員のことを、「事業者の立場だとしながら(固有記号)廃止論の急先鋒に立ち、事業者の主張とは真逆の廃止論を振りかざししている」と記載されていますが、T委員の主張のどこがどのように問題なのですか。

5.「事業者の意向とは異なる政策が進みつつある現実」とはどのような「現実」のことを指しているのですか。

6.T委員を「引きずりおろせ、誰が推薦したんだ、との声もあがり」「消費者庁の政策決定への疑問も出始めた」との記載がありますが、「引きずりおろせ」との「声」は誰が誰に対して「あげた」ものですか。また、消費者委員会検討会の一委員に過ぎないT委員の発言が別機関である「消費者庁の政策決定への疑問も出始めた」という記載へとつながる根拠は何ですか。このような行政への「圧力」があったかのように示唆される記述の根拠を明らかにして下さい。

7.トランス脂肪酸に関する検討については、「文書捏造の疑惑」と記載しつつも、「この人物が提出した捏造文書」「文書捏造などの奇行が指弾されている人物」と断定的な記述も見られます。貴紙は、T委員の文書に関する食品安全委員会の対応に対し、消費者団体などが食品安全委員会に抗議書を提出したことをご存知ですか。その内容についてどう思われますか。T委員について「文書捏造などの奇行が指弾されている人物」と一方的・断定的に記載したことで、T委員の名誉を著しく損なう内容となっていますが、この点についてどう認識されていますか。

8.「主張」欄は、「問題の人物の即時の更迭」を求め、そうなっていない状況を「表示部会の品格を傷つける事態」と記載していますが、「部会の品格」とは具体的に何をさしていますか。

9.「そもそも、事業者がほとんど知らないこの人物」とT委員のことを記載していますが、この知らない「事業者」とはどのような事業者のことを指しているのですか。

10.「事業者側が固有記号廃止を受け入れなければならなくなると、もはや部会は無用の長物と言わざるを得ない」と記載されていますが、仮に部会が、製造所固有記号を原則廃止へと明確化することを結論づけたなら、なぜ、そのような結論を出す部会が「無用の長物」となるのですか。

11.そもそも、健康産業新聞の「主張」欄は、「事業者の利益」と「消費者の利益」、その関係をどうお考えなのですか。

私たち、「食品表示を考える市民ネットワーク」では、今回判明した健康産業新聞の「主張」欄は、部分的な事実のつまみ食いと、報道機関が避けるべきひとり相撲の思いこみ、及び、多面的な取材活動の回避や深い洞察過程からの意図的な逃避など、ペンを持つものが本来はしてはならない表層的な行為に基づいて作成されたものと思わざるを得ません。同欄で個人批判の対象にされたT委員への取材もせずに、「捏造」「奇行」「問題人物」「引きずりおろせ」「奇っ怪なのは更迭させないこと」など、一方的にその名誉を損なう記述で埋めていることは重大な問題と考えます。個人が特定される匿名などはそもそも匿名の名には値しません。それは執筆者や新聞社の責任回避という無責任さを示す行為です。上記質問事項について、1月31日までの回答を求めます。

以上

 

【参考】

健康産業新聞2014年11月5日号「主張」欄 同欄には次のように記載されています。

■事業者(代表)を自称するT委員が、消費者委員会の表示部会で不規則発言を繰り返している

■事業者の多くが存続を求める固有記号についても、事業者の立場だとしながら廃止論の急先鋒に立ち、事業者の主張とは真逆の廃止論を振りかざしている

■この人物がどのような経緯で委員となったのかも不可解

■4月のトランス脂肪酸の議論では遂に文書捏造の疑惑が飛び出してきた

■その時点で「更迭」は不可避とみられていたが、表示部会は何の処分も行わず議論を続行している

■問題の人物だが、例えば、会議時間の多くを意味不明の自己主張で占有したり「消費者庁を事業者庁に変えろ」などの不規則発言を繰り返し、固有記号問題でも事業者(代表)と称しながら、事業者の声とは真逆の廃止論を展開してきた

■このような不規則な表示部会で、事業者の意向とは異なる政策が進みつつある現実を事業者は知らない

■話が伝わるにつれ「引きずりおろせ」「誰が推薦したんだ」などの声も上がり、消費者庁の政策決定への疑問も出始めている

■トランス脂肪酸に関する表示部会で、この人物が提出した捏造文書が問題となった

■奇っ怪なのは、この時点で表示部会はこの人物を更迭せず、未だに固有記号などの政策議論に参加させていることだ

■食品表示問題は産業界にも重要で、消費者行政全般に関わる問題。部会の品格を傷つける事態を消費者委員会の出来事と看過してよいのだろうか

■事業者がほとんど知らないこの人物が、事業者の主張と相入れない議論を展開し、その結果、事業者側は固有記号廃止を受け入れなければならなくなると、もはや部会は無用の長物と言わざるを得ない

■ましてや文書捏造などの奇行が指弾されている人物を政策決定の委員として許容し、政策議論を進めるとなると、表示部会や消費者委員会のコンプライアンスは一体どうなるのか

■問題の人物の即時の更迭と併せて、このような問題委員が事業者代表として選出された経緯や、推薦者の推薦責任も明らかにし、同じ誤りを繰り返さない仕組み作りと迅速な議論の正常化を求めたい