2015年2月27日 「健康産業新聞」の「主張」と私たちの公開質問状への「返信」内容に抗議します

当団体は2015年2月27日、UBMメディア株式会社宛て、『「健康産業新聞」の「主張」と私たちの公開質問状への「返信」内容に抗議します』を送付しました。
 「健康産業新聞」の「主張」と私たちの公開質問状への「返信」内容に抗議

私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」は、このほど、1月13日付け「健康産業新聞編集長」あて公開質問状に対して、貴社からの2月3日付け「弊社編集長あての公開質問なる文書について」(以下、返信)を受け取りました。

極めて残念なことに、その「返信」は、私たちの公開質問への回答を拒否し、その理由として「こうした質問状を消費者団体と思しき貴団体からいただく根拠も見あたらない」「当紙は知的所有権に属する有料媒体」であり、「購読者に限定的責任を持つもの」であって「断片的な質問に関して購読者以外の不特定多数に回答するものでもない」とし、食品業界のオピニオンリーダーのように振舞おうとされている報道機関としては、驚くほど閉鎖的で傲慢な態度を表明されています。

その上、貴社「返信」は、「健康産業新聞」の「主張」欄で批判したT委員(立石幸一委員)について、一方では「T個人に興味もなく」「また個人を批判するものでもなく」、だから「あえてT委員としている所以」と匿名理由の一端を説明しながら、他方では、「Tなる人物について食品表示部会で事業者の立場を標榜し、事業者の声と異なる主張を繰り返していることに疑義があり」「文書改ざんの指摘を受けるなどの経歴」があり、「国民が政策を託す委員として望ましくない」などと「主張」欄での個人批判を再び確認するなど、私たちが問題としている「主張」欄が立石幸一委員の名誉を損なう内容であったことを、今にいたっても、謙虚に見据えようともしない、矛盾に満ちた内容を含んでいます。

しかも、貴社の「返信」は、5年前に発足した消費者庁および消費者委員会においてなぜ食品表示の課題を検討することになったのか、その経緯や、その検討の社会的要請について注意をはらうこともなく、「事業者の立場」や「事業者利益」が「消費者の利益」「消費者の権利」とどう関連してくるのか、といった貴社の「主張」欄に対する私たちの疑問・質問には一切答えようとせず、ただ「購読者以外には答えない」と一方的に回答を拒否されています。まさに報道機関にあるまじき「返信」内容と言わざるを得ません。

私たちは、貴社発行の健康産業新聞の「主張」欄が立石幸一委員の名誉を損なうだけではなく、消費者委員会や消費者庁、及びそれら機関に設置された検討会等の役割に関する貴社の認識において「おかしい」と思われる点を記載内容に即して指摘し、貴社の判断の根拠とその対応について質問しました。

しかし、貴社はその肝心な点について「返信」において回答を避けることを表明し、あろうことか、私たちの公開質問状に対し、当ネットワークが本当に作成・提出したものなのか、公開質問状は立石幸一委員が記載したものではないのか、T委員と立石委員は同一人物なのか、同委員は、当ネットワークの役員ではないのか、同委員は消費者団体に所属しているのではないのか、など、全く的外れの憶測のもと、「返信」での記載のほとんどを、その真偽の確認を求めることに費やしています。

このような貴社の質問について私たちは、公開質問状の提出とその質問項目に対し、それを素直に受け止められない貴社が、真実から目をそらしたい一心での願望が現れたものと思っていますが、いずれにせよ、真面目な報道機関としての姿勢は微塵もなく、言語道断と言わざるを得ません。

貴社からの質問に対しては、私たちは次のように事実を回答するのみです。

1.1月13日付け公開質問状は、私たち食品表示市民ネットワーク(代表・神山美智子)で検討・作成・確認して貴社に提出したものである。

2.立石幸一委員は、生産者・事業者委員として消費者委員会食品表示部会の委員をしていることから、私たちが主催した「メディア懇談会」に審議の経緯の説明を求める講演をお願いした経緯があるが、当ネットワークの役職員でも役員でもない。この「メディア懇談会」の模様はいくつかのメディアでも報道されている。

3.貴社は、公開質問状は立石委員が執筆したものではないか、などと当ネットワークに問うているが、それは全くの悪意に満ちた邪推であり、それ自体が、立石幸一委員の名誉を傷つけるものである。

それにしても、貴社は「事業者の立場」であれば「その発言はこうあるべきである」とあらかじめ狭く断定され過ぎているように思えます。却って目の前のダイナミックな事実の推移が見えない、あるいは見ようともしないで自らを縛っていると考えざるを得ません。貴社の想定する「事業者の立場」を貴社自身が明確にしていないために、そのステレオタイプの情報分析手法は私たちの憶測でしかありませんが、それが貴社の取材・報道活動にどんな影響を及ぼしてくるのか、的外れな私たちへの質問と、問われているのは貴社であるのにそれを受け止めることのできない貴社の、真摯さが欠如した今回の対応姿勢を見るとき、その点が懸念されます。

消費者行政の推進が求められる中にあって、健康産業新聞の「主張」欄と今回の返信内容は、食品表示情勢についての貴社の認識の一端を表象したものと考えます。それ故に、私たちが公開質問状で示した事実への真摯な把握、問われたときに必要な、根拠についての納得できる説明は、「言論」を担う報道機関の重大な責務であるとともに、「業界紙」であれば、業界健全化への一里塚とも考えます。それを貴社が回避していることは、食品業界全体への消費者の信頼感を失うことにもつながりかねません。

私たちは、そのような責務・役割を放棄している貴社の「主張」欄と今回の返信内容に、厳重に抗議します。

以上