2015年4月14日 トランス脂肪酸の表示義務化に向けて要望書を提出

2015年4月14日、消費者担当大臣、消費者庁長官、消費者委員会委員長宛てに、要望書「日本動脈硬化学会の指摘を踏まえトランス脂肪酸の表示を義務化すべきです」を提出しました。
トランス脂肪酸表示義務化要望書

消費者委員会「食品ワーキング・グループ」は3月20日、トランス脂肪酸に関する日本動脈硬化学会・寺本民生前理事長によるヒアリングを実施し、今後、報告書をとりまとめることを決めました。同学会は、消費者の健康被害防止の観点から、2013年にトランス脂肪酸を動脈硬化性疾患発症の原因物質の一つとして位置付け、その表示を「ただちに行うこと」とする要望書を安倍晋三総理大臣と当時の阿南久消費者庁長官に提出していました。当日のワーキング・グループで寺本前理事長は、改めて、トランス脂肪酸の表示義務化が喫緊の課題であることを表明されました。

私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」は、この指摘の重要性を踏まえ、消費者の安全の権利、消費者の選択の権利等、「消費者の権利」の確保・実現へ向け、トランス脂肪酸の表示を義務化することを強く求めます。

トランス脂肪酸の摂取は、動脈硬化や心臓病のリスクを高めることが明らかとなっており、アレルギー疾患や免疫力の低下とも関係しているとの指摘も多くあります。そのため多くの国で表示は義務化されており、使用制限や使用禁止へと向かっています。

しかしながら、日本においては一部の偏った食事をする人を除きリスクは低いとして、表示は義務化されておらず、そのため摂取を控えたくても表示で選別することは出来ない状況にあります。トランス脂肪酸の健康影響についての情報も少なく、摂取に気を配る人も多くありません。最も影響が心配とされる子どもや若い女性に過剰摂取が存在していることは大きな問題です。

消費者委員会食品ワーキング・グループのヒアリングでも寺本氏は、学術的見地からトランス脂肪酸の心血管病への影響は明白であり、米国で2006年にまとめられた報告書においても作用機序として立証されていると説明。動脈硬化が完成するには何10年もかかり、結果としてある日突然「心筋梗塞」という形で現れることから、ファーストフードの日本上陸が70年代であることを考えると疫学的な実証には時間を要するが、将来深刻な問題となると予測されています。若い世代、特に子どもたちへの影響が大きいことをもっと真剣に考えるべきだと述べられました。

そして、健康寿命延伸のための対策として、予防医学の重要性とそのことを補完する社会システムの重要性、世代間で知恵を継承していくことの重要性を強調され、トランス脂肪酸については限りなくゼロを目指すことが望ましく、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸と分けて表示することが望ましいと提言、現在は表示されていない以上、消費者には選択できないこと、事業者側の削減努力にもつながらないこと、などを指摘されました。

消費者委員会は、トランス脂肪酸の表示に関する検討はワーキング・グル―プとしては終了とし、とりまとめを行なう予定とのことですが、今回のヒアリングにおける再度の意見表明、そしてその要望には日本高血圧学会、日本循環器学会、日本小児科学会等、六つの学会も同意していることを重く受け止め、予定する報告書においては、トランス脂肪酸の表示義務化実現を明記した内容とすることを強く求めます。

以上