2015年8月31日 意見書「食品表示法改正の要望」を提出

2015年8月31日、消費者担当大臣、消費者庁長官、消費者委員会委員長宛てに、意見書「食品表示法改正の要望」を提出しました。
食品表示法改正の要望

食品表示法は、平成25年第183回国会に上程され、平成25年6月13日成立、同28日公布され、2年以内に施行とされたものです。しかしながら、その後、規制改革会議において、健康食品の機能性表示を求める検討が行われ、平成25年6月14日、機能性表示を認める閣議決定がなされました。

また、この表示制度は平成27年3月末までに実施するとされたので、消費者庁は、平成25年12月から検討会を開催して、食品表示法に基づく表示基準に盛り込むことを決定しました。そのため、2年以内施行とされていた食品表示法は、急遽4月1日施行とする閣議決定がなされ、食品表示法に基づく新たな食品表示基準が、3月20日に、内閣府令第10号として告示されました。

私たちは、健康食品の機能性表示解禁に反対し、食品表示法に基づく届出制にも反対してきました。現在必要なことは、特定保健用食品を含む健康食品の表示、広告の適正化であり、いわゆる健康食品の規制であると考えています。

しかし、現実には本年4月1日から実施されてしまいましたが、機能性表示制度が食品表示法の中に位置づけられていないため、非常に分かりにくく、使いにくい制度となっています。そこで、とりあえず、機能性表示問題に限り、以下のとおり、食品表示法の改正を求めます。

1 食品表示法第11条(適格消費者団体の差止請求権)

11条は下記のとおりの文言となっており、差し止め請求を行える表示違反が「販売の用に供する食品の名称、アレルゲン、保存の方法、消費期限、原材料、添加物、栄養成分の量若しくは熱量又は原産地」に限られていて、機能性表示食品の表示基準違反が差し止め請求の範囲から外れている。これは、本法案が国会で審議されているときには、「機能性表示食品制度」が存在していなかったからである。したがって、差し止め請求の対象に、機能性表示食品も加えるように改正すべきである。

「消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)第二条第四項に規定する適格消費者団体は、食品関連事業者が、不特定かつ多数の者に対して、食品表示基準に違反し、販売の用に供する食品の名称、アレルゲン、保存の方法、消費期限、原材料、添加物、栄養成分の量若しくは熱量又は原産地について著しく事実に相違する表示をする行為を現に行い、又は行うおそれがあるときは、当該食品関連事業者に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該食品に関して著しく事実に相違する表示を行った旨の周知その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。」

2 食品表示法第12条(内閣総理大臣に対する申出)

12条1項は下記のとおりであるが、消費者庁は、この条文の対象は現に販売の用に供されている食品に限るとしている。しかし、機能性表示食品は、販売前60日の届出と届出資料の公表が義務付けられており、何人もこれを見て販売前に科学的根拠等を検討することができる。届出の中には、科学的根拠に疑義のあるものが存在するので、販売前にも申出ができるとするべきである。そうでなくては、販売前60日の届出を義務づけた意味がない。

「何人も、販売の用に供する食品(酒類を除く。以下この項において同じ。)に関する表示が適正でないため一般消費者の利益が害されていると認めるときは、内閣府令・農林水産省令で定める手続に従い、その旨を内閣総理大臣又は農林水産大臣(当該食品に関する表示が適正でないことが第六条第一項の内閣府令・農林水産省令で定める表示事項又は遵守事項のみに係るものである場合にあっては、内閣総理大臣)に申し出て適切な措置をとるべきことを求めることができる。」

3 食品表示法第6条の指示、措置命令、回収命令等が、機能性表示食品に適用できるかどうか、不明確であるから、機能性表示食品に対しても指示等ができる旨を明示すべきである。

以上