11月25日 機能性表示食品制度の廃止を求める要望書を提出しました。

2015年11月25日、消費者及び食品安全担当大臣、消費者庁長官宛てに要望書「『わかりにくい制度』(機能性表示食品制度)の廃止を求めます」を提出しました。

機能性表示食品の廃止を求める要望書

河野太郎消費者及び食品安全担当大臣は、機能性表示食品制度について、「わかりにくい制度」と指摘され、「街角インタビューをしてもトクホ(特定保健用食品)と機能性表示食品制度について多くの人がその違いがわからないと答えるだろう」と述べられたことが報道されています。

私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」では、機能性表示食品制度が消費者に誤認を与えるだけでなく、消費者の健康被害・契約被害を増加させ、消費者に不利益を被らせる制度であると指摘し、トクホ制度、栄養機能食品制度との総合的・一体的見直しを実施するよう、現行機能性表示食品制度の運用中止・制度廃止を求めてきました。

同制度が導入されて7ヶ月経ちましたが、この間、多くの課題が提起され、それら課題が何一つ解決されないままに、ますます「わかりにくい制度」として推進されようとしています。それに加え、「いわゆる健康食品」にあっては機能性を暗示する表示やあいまい表示が依然として横行しており、機能性表示食品制度導入を契機として便乗表示も目立つようになりました。

私たちは以下の理由から、早急に現行制度の運用中止を実施し、トクホ、栄養機能食品などとの総合的・抜本的改善に着手することを求めます。

  1. トクホの審査で「安全性は評価できない」とされた成分が、機能性表示食品では健康に良いとされて販売される例がありますが、これは制度をわかりにくくさせている大きな矛盾です。安全性についてダブルスタンダードを許容するような制度は欠陥制度です。
  2. 販売60日前の届出制度とはいえ、データの公開期間が短縮されてきている現実は、届出に伴う公開制度の意義をないがしろにするものであり、消費者の「知らされる権利」を侵害するものです。
  3. これまでも消費者からは安全性・機能性に関する疑義情報が消費者庁に数多く提起されてきましたが、これに対し同庁は届出を受理したことに対する説明責任を果たしていません。疑義情報の提起や申出制度に関する制度的保障が担保されていない現状は、消費者の「知らされる権利」「選択する権利」を侵害するものです。
  4. 機能性表示食品制度の運用基準となる「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」は、厳密な科学的・客観的根拠の提出よりも、事業者の届出をより簡便にできるよう様々な方法を提示することを前提・重視した内容であり、この点が不安な食品の横行に道を開いています。ガイドラインに沿って「形式的審査をして届出を受理する」とする消費者庁の姿勢では消費者被害を防止することはできません。
  5. 有害事象情報(事故情報)の報告と公開が事業者に義務付けられていない中では、健康被害の未然・拡大防止はできません。被害はますます潜在化していきます。
  6. 機能性表示食品制度は「いわゆる健康食品」による「あいまい表示・暗示表示」を抑制することはありません。むしろ、食品分野で機能性表示を可能とする3制度が併存することによる複雑さによって、「いわゆる健康食品」の分野での体験談表示など「あいまい・暗示表示」はいっそう横行するようになりました。

以上の理由から、「わかりにくい制度」のままに放置するのではなく、早急に運用を停止し、トクホ・栄養機能食品制度などとの総合的・抜本的検討に取り組み、その改善に着手するよう求めます。以上