1月25日、「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会」開催にあたっての要望書を提出しました。

2016年1月25日、農林水産大臣および内閣府消費者及び食品安全担当大臣、消費者庁長官、加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会委員宛てに「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会」開催にあたっての要望書を提出しました。

原料原産地表示検討会への意見書

消費者庁と農林水産省は共催で、1月29日に「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会」をスタートさせる運びとなりました。加工食品の原料原産地表示の拡大は、食品表示法制定時に食品添加物表示や遺伝子組み換え食品表示の改善とともに、「積み残された課題」として提起されていたもので、早急な実現が求められます。

私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」は、これまで商品選択のかなめである食品表示について、適切で正しい表示の実現と、まぎらわしくあいまいな表示の排除を求め、消費者目線からの適正な表示制度導入こそが必要と訴えてきました。加工食品の原料原産地表示はその重大要求の一つですが、これまでの数年来の検討結果が事業者の利益を優先するあまり、消費者の知る権利、選択する権利などの消費者の権利をまったく省みない結果に終始していたことは否めません。そこで、私たちは、「検討会」開催にあたって次の点を強く要望します。

 1.明確に、加工食品の原料原産地表示実現を前提とした検討として取り組むこと

これまでの検討では、「事業者の実行可能性」のみが重視され、消費者の選択のための表示実現を阻む大きな要因となっていました。検討会スタートにあたっては、消費者に軸足を置く消費者行政の真価が問われていることを消費者庁・農林水産省及び各委員が認識し、加工食品の原料原産地表示の実現こそが目的であると位置付けてください。

2.現行の「義務対象品目の選定要件」を廃止し、原則、すべての加工食品に原料原産地表示の義務化を

加工食品の原料原産地表示については、これまで義務対象品目について2項目の選定要件が指定され、そのもとで22食品群と4品目(個別義務)の表示が実施されてきました。この選定要件が表示対象品および表示拡大の壁となり、日本の加工食品における原料原産地表示の実現を遅らせてきた要因となっています。検討会では下記の「選定要件」を廃止し、原則として、すべての加工食品の原料原産地表示を実現させることを検討してください。

選定要件

①原産地に由来する原料の品質の差異が、加工食品として品質に大きく反映されると一般的に認識されている品目のうち

②製品の原材料のうち、単一の農畜水産物の割合が50%以上である商品

3.冠食材の原料原産地表示も義務化を

商品名に名称が付されたものは、その原材料の原産地の表示を義務付けるべきです。(例えば、商品名が「エビピラフ」の場合、「エビ」の原産地名の表示)

4.外食、ばら売り、通信販売、ネット販売等、販売の多様化にあわせ表示義務化を

消費者が利用する外食・中食や惣菜、インストア食品などにおいても原料原産地表示が求められます。外食についてはガイドラインなどで運用されていますが、販売店ごとに整合性を欠き、不十分です。消費者目線から義務化対象に含めるべきです。

5.食品添加物の原料原産地表示についても義務化を

現在使用されている食品添加物の中にはほとんど海外で製造されている「ビタミンC」などの製品もあります。食品添加物にも原料原産地表示が必要です。

6.加工食品の原料原産地表示制度を担保するトレーサビリティの充実を

現行の表示制度は原則的に最終商品を対象にし、加工業者など中間業者に適切な情報が伝わらないと正しい表示が実施されない制度となっています。加工食品の原料原産地表示の実施にあたっては、事業者間取引においても表示の義務化が必要であり、それを担保するためのトレーサビリティシステムの導入を図るべきです。

7.検討にあたっては、消費者の意見を聞く場を設けること

消費者にとって分かりやすく、商品選択のために必要な情報が表示に記載されることが重要です。そのためには消費者の意見を反映させる必要があります。検討会において、議論の取りまとめを行う前に、消費者の意見を聞く場を設けることを要望します。

以上