8月30日 加工食品の原料原産地表示に関する意見書を提出

2016年8月30日付けで、消費者担当大臣、消費者庁長官、消費者委員会委員長宛てに、現在、消費者庁と農林水産省主催の検討会で議論されている「加工食品の原料原産地表示」について意見書を提出しました。

加工食品の原料原産地表示意見書

「加工食品の原料原産地表示は国別表示が原則です」

消費者庁「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会」の審議は、今秋の報告書のまとめを目指し、大詰めを迎えています。しかし、最終検討段階にあたって、事業者の「実行可能性」を重視するあまり、消費者が求め、実現されるべき適正な原料原産地表示が、再び三たび、風前の灯のような状態に置かれています。
私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」は、加工食品の原料原産地表示は、国別表示を原則とすること、それは十分可能であること、そのためのトレーサビリティシステムなどの環境整備にも力を注ぐこと、などを提起し、正しくわかりやすい表示実現を求めてきました。
その方向性はこれまで10数年にわたり先延ばしにされてきた加工食品の原料原産地表示の実現に新たな視点から挑むことを意味し、事業者の「実行可能性」を全体で底上げし、食品輸入大国・日本の現状を踏まえた「消費者の目線」を尊重する新表示制度の導入へと結びつくものと考えています。それは実行可能性の高い施策であると、私たちは認識しています。
同検討会は、足踏みも後退もすることなく、しっかりと前へ向かって進んでいただきたい。検討の方向性があいまいにならないよう、改めて以下の点について意見を述べ、消費者を重視した加工食品の原料原産地表示の実現を求めます。

1.加工食品の原料原産地表示は、何よりも国別表示が基本であり、これが原則であり、その点を明確にすべきです。消費者が知りたいのは、実際に購入した食品の原材料がどこの国のものか、その事実です。

2.従って、「可能性表示」「大括り表示」は、基本・原則から外れた「緊急避難措置」「緊急的な例外規定」であり、これら表示方法は通常規定では認められないことをまず明確にしてください。また「中間地表示」はそもそも原料原産地表示とは異なりますので、別の表示法として位置付けるべきです。

3.現行の22食品群+4品目を規定する「2要件」を廃止し、新しい表示ルールのもとに一本化すべきです。この「2要件」による複雑・怪奇な表示の弊害については、すでに私たちの意見書等でもその実態を明らかにしています。

4.加工食品の製造・販売業者は、自ら製造・販売する食品の原材料がどこの国で生産あるいは加工・製造されたものか、きちんと把握することが、課せられた最低限の責任であることを自覚してください。本来果たすべき責任を果たしていないことを「実行可能性」の議論に持ち込むのは、事業者責任の回避であり、消費者としては許すことができません。

5.以上の点を制度的に担保するための食品トレーサビリティー制度の導入を検討することを報告書に盛り込んでください。原料採取から中間加工・製造・包装・販売などの各段階で情報が適切に伝達されていることの制度的保証が新しい表示制度の信頼の証となり、消費者が望んでいることです。

以上