new 講師変更のお知らせ 国際シンポジウム2015「消費者が選べる遺伝子組み換え食品表示をめざして」

ジョージ・キンブレルさん 食品安全センター上級弁護士

ジョージ・キンブレルさん

イ・ジェウクさん

イ・ジェウクさん

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1121 東京国際交流館アクセスマップ

日時 11月21日(土)10:30~16:00  開場 10:00

場所 東京国際交流館プラザ平成国際交流会議場 (プラザ平成3階)275席

同時通訳あり

 

 

講演予定だったアンドリュー・キンブレルさんは、現在、米国上院で議論されているDARK法案(別名モンサント保護法案)が否決されるかどうかの山場を迎えており、議会対策に専念するため、米国よりビデオメッセージにて出演になります。代わって、ジョージ・キンブレルさんが来日されます。コネチカット、バーモント州等の州法の起草、また、ワシントン、オレゴン等の住民投票の法案を起草、FDA(米国食品医薬品局)に提出した請願も起草されています。

以下、ジョージ・キンブレルさんのプロフィールを紹介します。

全米に消費者、生産者を含む70万人以上の会員を擁する非営利団体「食品安全センター」(CFS)の上級弁護士。CFSは市民の権利向上、生産者の支援、工業化農業による環境汚染の防止を目的に活動する市民団体。(詳細はホームページwww.centerforfoodsafety.org(注:英語のみ)を参照)キンブレル氏は、オレゴン州ポートランドにあるCFSのパシフィック・ノースウェスト事務所(太平洋岸北西部事務所)を運営し、これまでの訴訟および政策提言活動の分野は、遺伝子組み換え食品、遺伝子組み換えの植物・樹木・動物、食品表示、食の安全と食品汚染、有機の健全性確保、工場農場による汚染、水産養殖、農薬、花粉媒介生物の保護、農業関連特許法、ナノテクノロジーなど多岐にわたる。

この12年間は、CFS、小規模農家、環境活動家を代表し、連邦政府や化学薬品会社、バイオテクノロジーの利害関係者に対する公益訴訟を行ってきた。そのうちの1つは、モンサントとジートソン・シード・ファームによる遺伝子組み換え作物の監督に関する裁判で、遺伝子組み換え作物として初めて最高裁に持ち込まれた(2010年)。また、遺伝子組み換え作物が農家や環境に与える影響の徹底分析や、遺伝子組み換え作物の開発・栽培試験の制限を全米で初めて求めた裁判なども担当。現在は、CFSがハワイ州とオレゴン州で弁護している4件の訴訟を扱っている。両州は遺伝子組み換え作物の利用を規制または禁止する条例を可決し、“遺伝子組み換えフリー(遺伝子組み換えを使わない)”農業区域を定めている。

遺伝子組み換え食品の表示に関する活動では、この7年間で10州以上の法案作成に関与し、このうちコネチカット州(2013年)、メイン州(2013年)、バーモント州(2014年)では法案が可決した。その後のバーモント州に対する業界からの異議申し立ての訴訟では、州の法律顧問を務め弁護に成功した。また、カリフォルニア州(2012年)、ワシントン州(2013年)、オレゴン州(2014年)のすべてで、表示を求める住民投票の法案を共同執筆した。2011年には、全米レベルで遺伝子組み換え食品の表示を規定するよう求めた要請書を執筆し、食品医薬品局に提出している。

ルイス&クラーク大学法学部の非常勤講師として、農業バイオテクノロジー法など食品・農業関連法の教鞭もとる。また、工業化農業が環境や人々の健康に与える影響に関するさまざまな問題について、幅広く執筆、講演活動も行っている。CFSに入る前に、第9巡回区控訴裁判所のロナルド・M・グールド裁判官の下で司法クラークを終了。ウィリアム&メアリー大学を優等で卒業し、ルイス&クラーク大学法学部は首席で法学位を取得している。

11月21日 国際シンポジウム2015「消費者が選べる遺伝子組み換え食品表示をめざして」を開催

アンドリューキンブレルさん

アンドリュー・キンブレルさん

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イ・ジェウクさん

米国の食品には遺伝子組み換え食品表示がありません。米国NGOの食品安全センター(会員50万人)は、GM食品の表示を求め活動しています。2011年に140万人の署名を集め、連邦政府へGM食品の表示を求める請願を60数団体の連名で行い、続いて州単位で表示を求める活動を展開しました。 これまで29州でGM食品表示を巡る住民投票あるいは州議会での議決が行われました。26州が否決、2州(メーン、コネティカット)が付帯条項付可決(実質見送り)、1州(バーモント)が2014年5月(2016年7月施行予定)に可決されました。今年、共和党議員により連邦議会に法案が提出されました。この法案が成立すれば州法は無効になるというものです。

国際シンポジウム2015「消費者が選べる遺伝子組み換え食品表示をめざして」

第1部では、米国において遺伝子組み換え食品表示法が成立に至った運動の経緯と今後の課題について、米国食品安全センター事務局長のアンドリュー・キンブレルさんに講演いただきます。 また韓国においては、より厳格な食品表示基準への改正が行われました。その背景となっているものは何かを韓国GMO反対生命運動連帯執行委員長のイジェウクさんにお聴きます。

第2部では、日本の食品表示の問題点を明らかにし、消費者が選べる食品表示について考えます。

アンドリュ-キンブレル氏は、市民運動家にして弁護士。ワシントンDCを拠点とする食品安全センターと国際技術評価センターの創設者で事務局長。20年以上もの間、法廷と草の根運動の最前線で活動し環境を守り持続可能な農業生産の方法を促進するために努力してきました。

日時 11月21日(土)10:30~16:00  開場 10:00                    場所 東京国際交流館プラザ平成国際交流会議場 (プラザ平成3階) 275席     同時通訳あり

【1121国際シンポジウムご案内】

東京国際交流館アクセスマップ

参加費 1,000円  ※要申し込み 席が埋まり次第、申込みを締め切らせていただきます。

プログラム

10:30 第1部:遺伝子組み換えの表示をめぐる海外の状況

  • はじめに  「日本の食品表示法の問題点」 /神山美智子(弁護士、食品表示を考える市民ネットワーク代表)
  • 米国 バーモント州GM表示法のゆくえ、遺伝子組み換え食品流通の現状  /アンドリュー・キンブレルさん(米国食品安全センター事務局長)
  • 韓国 韓米FTAによるGM表示の影響、国産農産物を食べる運動と実践事例  /イ・ジェウクさん(韓国GMO反対生命運動連帯執行委員長、農漁村社会研究所所長)

13:00 昼食休憩

14:00 第2部:さよなら遺伝子組み換え食品 生産者と消費者が力をあわせて

  • 問題提起 日本の食品表示法(GM表示)の状況、グローバルな食品流通の中で問われる日本の食品表示  /西分千秋(食品表示を考える市民ネットワーク事務局長・たねと食とひと@フォーラム共同代表)
  • パネルディスカッション 「生産者と消費者をつなぎ、知り・選べる食品表示をめざして」

パネリスト 講師2人、消費者 コーディネーター 岡本よりたかさん(自然栽培農家・空水ビオファーム八ヶ岳)

  • 行動提案  西分千秋
  • おわりに  山浦康明(食品表示を考える市民ネットワーク副代表)

16:00 閉会

■共催 食品表示を考える市民ネットワーク/たねと食とひと@フォーラム/生活クラブ事業連合生活協同組合連合会/グリーンコープ共同体/パルシステム生活協同組合連合会/市民セクター政策機構/生活クラブ親生会/戸川雅子 
■協賛 米香房Gratias/生活協同組合パルシステム東京/ルナ・オーガニック・インスティテュート/オルター・トレード・ジャパン/主婦連合会/家庭栄養研究会/APLA/ふろむあーすカフェ・オハナ/カフェスロー/矢ノ目糀屋/松本清/食の安全・監視市民委員会/東京都地域消費者団体連絡会/ワーカーズ・コレクティブネットワークジャパン/大地を守る会/福井鉄/一般社団法人ワーカーズ・コレクティブぷろぼの工房/ワーカーズ・コレクティブ及び非営利・協同支援センター/大塚恵美子/広報貴族・木下拓己  
 (10/31現在)

【申し込み先】 たねと食とひと@フォーラム お申し込み・お問い合わせは、できるだけFAXまたはEmailにてお願いいたします。

Fax 03-6869-7204  Email:info@nongmseed.jp

食品表示を考える市民ネットワーク http://foodlabeling-net.main.jp/label/?p=1248

たねと食とひと@フォーラム http://nongmseed.jp/

生活クラブ連合会 http://seikatsuclub.coop/coop/news/20151015t.html

パルシステム連合会  http://www.pal-system.co.jp/topics/2015/151015/

パルシステム東京 http://www.palsystem-tokyo.coop/information/archive/020855.html

この企画は独立行政法人環境再生保全機構地球環境基金の助成を受けて開催します。

★賛同団体・個人募集中 国際シンポジウム2015「消費者が選べる遺伝子組み換え食品表示をめざして」

食品表示を考える市民ネットワーク、生活クラブ連合会、たねと食とひと@フォーラム、他が共催する 国際シンポジウム2015「消費者が選べる遺伝子組み換え食品表示をめざして」への賛同者(団体・個人)を募っています。ぜひ、下記にご賛同いただき共催または協賛をお願いいたします。
国際シンポジウム2015賛同申込書

【募集】

共催  賛同金1口10,000円以上

協賛  賛同金なし

★共催または協賛頂いた団体・個人のお名前は、WEBサイト及び当日の資料に掲載します。

★尚、10月末までにご賛同いただいた場合は当日資料に、お名前を掲載します。

新しい食品表示法にもとづき、2015年4月食品表示基準が施行されました。この間、食品表示を考える市民ネットワークでは、市民側に立った意見を政府に提案をすすめてきました。活動の成果として、法成立時に衆参両院で付帯決議をあげることができましたが、その一つに掲げられている遺伝子組み換え食品表示については検討課題になったままです。このシンポジウムを機に遺伝子組み換え食品表示改正に向けた運動を進めます。

米国のいくつかの州において遺伝子組み換え食品表示法が成立しました。成立に向けた運動を牽引してきた米国食品安全センター事務局長のアンドリュー・キンブレル氏を招き、運動の経緯と今後の課題について講演いただきます。また、韓国では、より厳格な食品表示基準への改正が行われました。その背景となったことについて学びます。そして、日本の食品表示の問題点を明らかにし、消費者が選べる遺伝子組み換え食品表示をめざし行動提起を行います。

企画名称   :国際シンポジウム2015「消費者が選べる遺伝子組み換え食品表示をめざして」

日  時  :2015年11月21日(土)10:30~16:00

集会規模  :250人

会  場  :東京国際交流館プラザ平成国際交流会議場

海外ゲスト :アンドリュー・キンブレル氏(米国食品安全センター事務局長)、イ・ジェウク氏(韓国GMO反対生命運動連帯・執行委員長、農漁村社会研究所所長)

共催:食品表示を考える市民ネットワーク/たねと食とひと@フォーラム/生活クラブ事業連合生活協同組合連合会/グリーンコープ共同体/パルシステム生活協同組合連合会/市民セクター政策機構/生活クラブ親生会/戸川雅子/他

協賛:米香房Gratias/生活協同組合パルシステム東京/ルナ・オーガニック・インスティテュート/オルター・トレード・ジャパン/主婦連合会/家庭栄養研究会/APLA/ふろむあーすカフェ・オハナ/カフェスロー/矢ノ目糀屋/松本清/食の安全・監視市民委員会/東京都地域消費者団体連絡会/他    (10/23現在)

【連絡先】たねと食とひと@フォーラム

東京都千代田区神田錦町3-21ちよだプラットフォームスクウェア1342

2015年9月3日 意見書「欠陥制度である機能性表示食品制度の運用停止・廃止を求めます」を提出

2015年9月3日、消費者担当大臣。消費者庁長官、消費者委員会委員長宛てに、意見書「欠陥制度である機能性表示食品制度の運用停止・廃止を求めます~早急にトクホ・栄養機能食品制度など総合的・一元的見直し検討に着手して下さい~」を提出しました。
機能性表示食品に対する意見書

9月1日付けマスコミ報道によると、消費者庁は8月31日、特定保健用食品(トクホ)の審査では安全性が確認できないという評価結果が出た関与成分について、その成分を含む食品を機能性表示食品として販売されることに対しては当該事業者に届け出の撤回を求めないことを決定した、とのことです。

このことは、トクホとしては安全性が確認されないのに、機能性表示食品としては、健康に良い作用のある成分として表示・販売される、ということを国として許容したことを意味し、食品の「安全行政」と「表示行政」、その施策遂行において重大な矛盾・不整合性をはらむものであることを示しました。

私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」は、機能性表示食品の制度自体に、このような矛盾、不整合、混乱を発生させる仕組みと欠陥があることを指摘し、これまで、機能性表示食品制度の廃止と、トクホ及び栄養機能食品制度などを含めた総合的で統一的な見直し検討に早急に着手すべきであることを消費者庁及び消費者委員会に強く求めてきました。

ところがそれ以降も消費者庁及び消費者委員会は、機能性表示食品制度への対応において、事態の推移を放置・傍観し、消費者庁にあっては私たちが「欠陥ガイドライン」と指摘した「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」の形式的審査に依拠するのみで、消費者行政の一元化と司令塔機能の発揮という自らの使命を放棄し、消費者委員会にあっては、法で明記された消費者のための勧告権を行使する必要性を一片も検討することなく、いずれも、私たち消費者の期待感をことごとく裏切る状況を招いてしまっています。今や、消費者行政は、かつての企業利益を優先した企業育成行政へと軸足を移しつつあると思わざるを得ません。

私たちは、以下の理由から、機能性表示食品制度が消費者の混乱を拡大させ、消費者の健康被害や経済的被害を拡大させ、結果的に食品及び食品業界の信頼感を喪失させる欠陥制度であること、それに対し、消費者庁及び消費者委員会が、制度運用の停止を決定・勧告し、早急に総合的見直し検討に入ることを表明するよう、改めて強く求めます。

1.欠陥制度は消費者被害を拡大させます

「安全性が確認されない」と科学的に評価された成分が、健康に良い作用を持つ成分であると表示され販売されることを許容する制度は、制度それ自体に重大な欠陥があることを示しています。施策の矛盾を正当化する欠陥制度を放置したままでは、消費者被害はさらに増加していきます。

2.機能性表示制度は消費者の権利を尊重しない政府の失策・失政です

機能性表示食品制度は、消費者の権利よりも企業の利益を優先したものであることは2013年の「規制改革会議」の審議をはじめ、同制度の企画・立案・審議・導入過程で明らかとなっています。消費者被害の発生増加が十分予想されるのに、その予防措置すら不十分なままに、急ぎ導入したことは、欠陥制度策定という失策に加え、その運用を推進するという消費者行政の失政以外のなにものでもありません。

3.事業者の利益優先で運用される「欠陥ガイドライン」も問題です

制度運用の基本となる「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」は、できるだけ事業者の届出を簡易にするための欠陥ガイドラインです。事業者が届け出るデータは科学的根拠が厳密でないものでも採用を可能とするもので、基本的には事業者の合理的説明で良しとする内容です。実際、そのガイドラインに沿った資料が届け出されているのです。このようなガイドラインに依拠する限り、欠陥制度はいっそう拡大し、消費者の権利は侵害され、消費者の利益は損なわれていきます。

4.健康被害情報(事故情報)の報告義務と公表制度がない中では被害は潜在化します

8月31日の記者会見で消費者庁の板東久美子長官は、当該事業者に「発売後に健康被害情報の収集などを行うよう要請した」とし、健康被害が発生した後の対応を注視している発言が報道されていますが、機能性表示食品制度は、事業者に健康被害情報の収集を求めているものの、消費者からの通報制度は明快にしていませんし、その報告と公開については義務付けていません。重大事故についても、原因が当該機能性表示食品と関わりがあるとわかった段階での公開であり、食品と健康被害の因果関係の検証を事業者の判断にゆだねています。実際、「ガイドライン」では、事故情報の収集を事業者に要請しているものの、その報告と公開については、しなくても良いことになっています。このような報告義務と公開制度のない状況のままでは被害の予防処置とはなりえず消費者被害が潜在化・深刻化し、一般に判明するときは大事故に発展した後のこととなります。

5.欠陥制度を啓発事業や消費者教育の対象にすることは本末転倒です

機能性表示食品制度の導入時には、消費者への情報提供とあわせ、制度の理解へ向けた消費者教育の推進が謳われました。しかし、そもそも欠陥制度を理解してもらおうと消費者への啓発活動や消費者教育推進の対象にすること自体、本末転倒です。消費者行政自らが、消費者に混乱を与え続けていくものです。

6.現行食品表示法は機能性表示食品制度に対し、監視チェックが効きません

食品表示法に基づく「申出制度」と「販売前の届出資料公開制度」は、運用実態から見ると、いずれも機能性表示食品制度に対しては監視機能が効かず、消費者にとっては意義の薄いものです。「販売前60日の届出」も、60日間の公開ではないことから、現在は公開制度の不十分性を補完するだけのものであり、消費者の「知らされる権利」「安全の権利」「選択する権利」が尊重されていません。

7.制度を廃止し、トクホ等含め総合的検討への着手を

機能性表示食品の登場で、現在、機能性を表示できる食品はトクホと栄養機能食品を含め三種類存在しています。これに加え、「いわゆる健康食品」についても、その表示には機能性をほのめかしたり、暗示したりする記述が横行しているのが実態です。消費者にとっては混乱以外のなにものでもなく、被害拡大の温床となっています。消費者庁及び消費者委員会は、消費者被害の防止と救済へ向け、欠陥制度である機能性表示制度を速やかに廃止し、トクホ、栄養機能食品を含めた総合的・一元的検討に着手すべきです。それこそが、消費者の期待を背に発足したはずの消費者庁及び消費者委員会の使命と考えます。

以上

2015年9月3日

2015年8月31日 意見書「食品表示法改正の要望」を提出

2015年8月31日、消費者担当大臣、消費者庁長官、消費者委員会委員長宛てに、意見書「食品表示法改正の要望」を提出しました。

 

食品表示法は、平成25年第183回国会に上程され、平成25年6月13日成立、同28日公布され、2年以内に施行とされたものです。しかしながら、その後、規制改革会議において、健康食品の機能性表示を求める検討が行われ、平成25年6月14日、機能性表示を認める閣議決定がなされました。

また、この表示制度は平成27年3月末までに実施するとされたので、消費者庁は、平成25年12月から検討会を開催して、食品表示法に基づく表示基準に盛り込むことを決定しました。そのため、2年以内施行とされていた食品表示法は、急遽4月1日施行とする閣議決定がなされ、食品表示法に基づく新たな食品表示基準が、3月20日に、内閣府令第10号として告示されました。

私たちは、健康食品の機能性表示解禁に反対し、食品表示法に基づく届出制にも反対してきました。現在必要なことは、特定保健用食品を含む健康食品の表示、広告の適正化であり、いわゆる健康食品の規制であると考えています。

しかし、現実には本年4月1日から実施されてしまいましたが、機能性表示制度が食品表示法の中に位置づけられていないため、非常に分かりにくく、使いにくい制度となっています。そこで、とりあえず、機能性表示問題に限り、以下のとおり、食品表示法の改正を求めます。

1 食品表示法第11条(適格消費者団体の差止請求権)

11条は下記のとおりの文言となっており、差し止め請求を行える表示違反が「販売の用に供する食品の名称、アレルゲン、保存の方法、消費期限、原材料、添加物、栄養成分の量若しくは熱量又は原産地」に限られていて、機能性表示食品の表示基準違反が差し止め請求の範囲から外れている。これは、本法案が国会で審議されているときには、「機能性表示食品制度」が存在していなかったからである。したがって、差し止め請求の対象に、機能性表示食品も加えるように改正すべきである。

「消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)第二条第四項に規定する適格消費者団体は、食品関連事業者が、不特定かつ多数の者に対して、食品表示基準に違反し、販売の用に供する食品の名称、アレルゲン、保存の方法、消費期限、原材料、添加物、栄養成分の量若しくは熱量又は原産地について著しく事実に相違する表示をする行為を現に行い、又は行うおそれがあるときは、当該食品関連事業者に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該食品に関して著しく事実に相違する表示を行った旨の周知その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。」

2 食品表示法第12条(内閣総理大臣に対する申出)

12条1項は下記のとおりであるが、消費者庁は、この条文の対象は現に販売の用に供されている食品に限るとしている。しかし、機能性表示食品は、販売前60日の届出と届出資料の公表が義務付けられており、何人もこれを見て販売前に科学的根拠等を検討することができる。届出の中には、科学的根拠に疑義のあるものが存在するので、販売前にも申出ができるとするべきである。そうでなくては、販売前60日の届出を義務づけた意味がない。

「何人も、販売の用に供する食品(酒類を除く。以下この項において同じ。)に関する表示が適正でないため一般消費者の利益が害されていると認めるときは、内閣府令・農林水産省令で定める手続に従い、その旨を内閣総理大臣又は農林水産大臣(当該食品に関する表示が適正でないことが第六条第一項の内閣府令・農林水産省令で定める表示事項又は遵守事項のみに係るものである場合にあっては、内閣総理大臣)に申し出て適切な措置をとるべきことを求めることができる。」

3 食品表示法第6条の指示、措置命令、回収命令等が、機能性表示食品に適用できるかどうか、不明確であるから、機能性表示食品に対しても指示等ができる旨を明示すべきである。

以上

2015年8月31日 意見書「原料原産地・食品添加物・遺伝子組み換え表示等の検討を早急に開始することを求めます」を提出

2015年8月31日、消費者担当大臣、消費者庁長官、消費者委員会委員長宛てに、意見書「原料原産地・食品添加物・遺伝子組み換え表示等の検討を早急に開始することを求めます」を提出しました。

 原料原産地・食品添加物・遺伝子組み換え食品表示等の検討を早急に開始することを求めます 長年の消費者運動の懸案だった、複数の法律にわたる複雑さを解消し、食品の安全性の確保と消費者の選ぶ権利を求めた食品表示法の一元化が実現し、2013年6月28日公布され、今年4月1日に施行された。 同法法案は衆議院で11、参議員では12の付帯決議がなされている。製造所固有記号の在り方、栄養義務表示の見直し、加工食品の原料原産地表示の在り方、仲食、外食へのアレルギー表示の在り方、食品添加物の表示の在り方の見直し、などについて本法成立後速やかにその検討の為の機関を設置し、検討に着手することとある。 さらに法案可決後、当時の森まさ子消費者担当大臣は記者会見で「今後は消費者団体など関係者の意見をしっかり取り入れ、できるだけ早く取り組みを始めたい」と述べている。 しかし、法律成立後2年を経過した現在も、未だ検討の兆しはない。「速やかに」「できるだけ早く」とは単なる言葉遊びではないはずだ。 複数回に分けて、基準が変更されることは消費者のみならず、事業者にとっても大変紛らわしく、混乱をきたし望ましいことではない。しかも、新法に基づく表示に完全移行が事項によってばらつきがある。加工食品と添加物は平成32年4月1日、生鮮食品は平成28年10月1日、機能性表示食品は本年4月から施行するなど経過措置期間が異なり、全く理解に苦しむ。 積み残された食品表示基準の検討機関を設置し、すみやかに検討をスタートすること。さらに、各課題のスケジュールを具体的に示すことを強く求める。 以上

7月15日緊急院内集会「消費者を惑わす機能性表示食品制度-消費者庁担当者に問う -」

7月15日(水)緊急院内学習会「消費者を惑わす機能性表示食品制度-消費者庁担当者に問う-」を開催します

機能性表示食品の緊急院内集会案内

今年4月1日から、食品表示法に基づき、企業が自己責任で食品の機能を表示し宣伝できる「機能性表示食品」制度がスタートしました。消費者庁が公表した届出食品は6月 29 日現在 44 品目あります。

私たちは企業の届出情報を精査し、5月末段階で公表された 21 件中 17 件に問題を見つけ、消費者庁へ情報提供しました。また6月 19 日にはある食品の新聞全面カラー広告が出ましたが、この中には「臨床試験済」という赤い受付印のようなマークが書かれているのに、「国の審査を受けたものではない」という記載がありません。

この制度には欠陥があると私たちは考えています。こうした問題点について事前に消費者庁に質問状を送り、当日回答いただけるよう要請しています。発売を契機に、ご一緒に考えてみましょう。

日 時 2015 年 7 月 15 日(水)12 時 30 分~14 時 30 分 ※12 時からロビーで入館証を配布します

会 場 参議院議員会館B-103 会議室(地下1階) (アクセス:地下鉄「永田町駅」出口1すぐ)

参加費:無料

※資料準備等の関係上、事前に FAX かメールでご連絡いただけると助かります。事前連絡が無くてもご参加いただけますが、定員(約 50 名)を超えた場合、事前連絡の方を優先させていただきます。あらかじめご了承ください。

主催:食の安全・監視市民委員会

共催:NPO 法人日本消費者連盟、食品表示を考える市民ネットワーク

【お問合せ先】 食の安全・監視市民委員会

〒169-0051 東京都新宿区西早稲田 1-9-19-207 日本消費者連盟内

2015年6月4日 機能性表示制度の見直しを求める意見書を提出

2015年6月4日、消費者担当大臣および消費者庁長官、消費者委員会委員長宛てに、機能性表示制度の見直しを求める意見書「能性表示制度は欠陥制度 早急に運用中止し、見直しを求めます ~「ガイドライン」に見る消費者にとっての機能性表示制度の欠陥性~」を提出しました。
機能性表示制度の見直しを求める意見書
「ガイドライン」の欠陥性 概略

私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」は、「欠陥制度」であることから導入を見直すようにと政府に要求してきた食品の「機能性表示制度」が4月1日、拙速のまま導入されました。すでに、販売60日前の届出と届出情報の公開制度によって、5月29日現在、26製品が届出受理されたことが消費者庁ホームページで公開されています。しかし、すでに、そのいくつかについて、安全性及び機能性に関するデータへの疑義が提起されており、消費者の混乱は増す一方となっています。

この制度創設に際して参考とされたアメリカには、「ダイエタリーサプリメント健康教育法」(DSHEA=ドシエ)という規制法があり、錠剤・カプセル型のサプリメントについて事業者の法的義務が規定されています。

しかし、日本の機能性表示制度は、法の制定・改正をまったく伴わない規制緩和を前提に設計されたもので、その運用は、抜け穴だらけで法的拘束力もない「ガイドライン」(指針)に、基づいて行われることとなりました。

この機能性表示は事業者の責任で実施し、消費者庁は安全性・機能性の科学的根拠について評価・関与しないという制度です。その旨が包装表示にも義務付けられることになっています。消費者目線よりも、アベノミクスの「成長戦略」に基づく事業者の規制緩和を優先した無責任な制度としてスタートしたものです。

制度設計にあたって安倍晋三首相は、「世界で一番企業が活動しやすい国をめざす」とし、その具体例として機能性表示制度を挙げたことはあまりに有名です。

しかし、その結果として、次のような問題が浮上することになりました。

 

  1. 特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品、機能性表示食品制度の3つの制度が併存することになり、従来の「いわゆる健康食品」の販売とあわせ、表示の混乱が生じています。「機能性表示まがい食品」が以前から横行しているのに、その監視・チェック体制は整備されていません。
  2. 現行トクホ、栄養機能食品、医薬部外品の許可表示などと機能性表示との表示に関する混乱が生じています。
  3. 健康被害情報の事業者の報告義務・公表義務制度がないことから、ますます健康被害が潜在化していきます。
  4. GMP(適正製造規範)制度の義務化がないことから、品質への信頼性も担保されないままのスタートとなりました。
  5. チェック機能が発揮される保証がないことから、行政も業界も運用にあたって手探り状態がしばらく続きます。その間も消費者被害(健康被害・財産被害)は増加していきます。
  6. 機能性表示は「いわゆる健康食品」の表示の規制にはつながりません。それは、トクホ制度創設によっては誇大・誤認表示がなくならなかったことと同様です。むしろ、「いわゆる健康食品」の誇大・誤認・虚偽・あいまい・ほのめかし・体験談表示等、不当な表示を助長させる結果となっています。
  7. 制度への理解を求める「消費者教育」が強調され、理不尽な「消費者の責任論」が主張される温床ともなっています。制度創設によって、もっとも迷惑を被るのは消費者であることがますますはっきりしてきました。機能性表示制度は欠陥を持つ「欠陥制度」なのに、その欠陥制度を消費者に理解してもらおうと消費者教育の対象にすること自体が本末転倒です。
  8. しかも、新規に導入されたはずの「申出制度」が当初の消費者庁の説明とは異なっていることがわかり、申出制度の十分な機能が発揮できずに形骸化する可能性があることも判明しました。販売60日前の届出と、届出情報の公開にも時間差があることから、公開の意義が薄れ、「申出制度」を利用しようとする消費者に混乱を与えています。

 

そこで、消費者被害を防止し、社会的混乱を解消し、食品表示の適正化を図るために、私たちは以下の3点を緊急に要望します。

(1)機能性表示制度の運用停止および3つの制度の総合的・一元的な見直し検討に速やかに着手(2年後見直しを待たずに)すること 

(2)「いわゆる健康食品」への法的規制の強化・導入と、市販後調査の実施、およびその結果を公開する制度的導入(事後規制の強化)を図ること

(3)消費者被害防止への各種制度創設食品事故情報の報告義務化、リコール基本法の制定検討に着手するとともに、

食品表示法の申出制度を抜本的に見直し、調査結果の申出人への通知や、異議申し立て制度も保証した「スーパーコンプレインツ制度」へと速やかに改正を図ること

導入された機能性食品制度では、その実際の商品が販売される前から研究データをめぐる不適切・不適正な運用が散見しています。これは制度自体に問題があることを示し、制度運用を適切に実施することを目的としたガイドラインにも重大な欠陥があることを示しています。

私たちは、運用の核となるガイドラインの課題、その欠陥性を指摘することで、再度、同制度運用の即刻中止・見直しを求めます。

以上

2015年4月14日 トランス脂肪酸の表示義務化に向けて要望書を提出

2015年4月14日、消費者担当大臣、消費者庁長官、消費者委員会委員長宛てに、要望書「日本動脈硬化学会の指摘を踏まえトランス脂肪酸の表示を義務化すべきです」を提出しました。
トランス脂肪酸表示義務化要望書

消費者委員会「食品ワーキング・グループ」は3月20日、トランス脂肪酸に関する日本動脈硬化学会・寺本民生前理事長によるヒアリングを実施し、今後、報告書をとりまとめることを決めました。同学会は、消費者の健康被害防止の観点から、2013年にトランス脂肪酸を動脈硬化性疾患発症の原因物質の一つとして位置付け、その表示を「ただちに行うこと」とする要望書を安倍晋三総理大臣と当時の阿南久消費者庁長官に提出していました。当日のワーキング・グループで寺本前理事長は、改めて、トランス脂肪酸の表示義務化が喫緊の課題であることを表明されました。

私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」は、この指摘の重要性を踏まえ、消費者の安全の権利、消費者の選択の権利等、「消費者の権利」の確保・実現へ向け、トランス脂肪酸の表示を義務化することを強く求めます。

トランス脂肪酸の摂取は、動脈硬化や心臓病のリスクを高めることが明らかとなっており、アレルギー疾患や免疫力の低下とも関係しているとの指摘も多くあります。そのため多くの国で表示は義務化されており、使用制限や使用禁止へと向かっています。

しかしながら、日本においては一部の偏った食事をする人を除きリスクは低いとして、表示は義務化されておらず、そのため摂取を控えたくても表示で選別することは出来ない状況にあります。トランス脂肪酸の健康影響についての情報も少なく、摂取に気を配る人も多くありません。最も影響が心配とされる子どもや若い女性に過剰摂取が存在していることは大きな問題です。

消費者委員会食品ワーキング・グループのヒアリングでも寺本氏は、学術的見地からトランス脂肪酸の心血管病への影響は明白であり、米国で2006年にまとめられた報告書においても作用機序として立証されていると説明。動脈硬化が完成するには何10年もかかり、結果としてある日突然「心筋梗塞」という形で現れることから、ファーストフードの日本上陸が70年代であることを考えると疫学的な実証には時間を要するが、将来深刻な問題となると予測されています。若い世代、特に子どもたちへの影響が大きいことをもっと真剣に考えるべきだと述べられました。

そして、健康寿命延伸のための対策として、予防医学の重要性とそのことを補完する社会システムの重要性、世代間で知恵を継承していくことの重要性を強調され、トランス脂肪酸については限りなくゼロを目指すことが望ましく、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸と分けて表示することが望ましいと提言、現在は表示されていない以上、消費者には選択できないこと、事業者側の削減努力にもつながらないこと、などを指摘されました。

消費者委員会は、トランス脂肪酸の表示に関する検討はワーキング・グル―プとしては終了とし、とりまとめを行なう予定とのことですが、今回のヒアリングにおける再度の意見表明、そしてその要望には日本高血圧学会、日本循環器学会、日本小児科学会等、六つの学会も同意していることを重く受け止め、予定する報告書においては、トランス脂肪酸の表示義務化実現を明記した内容とすることを強く求めます。

以上

2015年3月6日 「ノンアルコール飲料の特定保健用食品許可に抗議するとともに、許可の取り消しを求めます」を提出

2015年3月6日、消費者担当大臣、消費者庁長官、消費者委員会委員長宛てに、「ノンアルコール飲料の特定保健用食品許可に抗議するとともに、許可の取り消しを求めます」を提出しました。
ノンアルコール飲料の特定保健用食品許可に抗議・取り消しを求める抗議書

 2015年2月18日消費者庁は、消費者委員会が2014年8月5日に特定保健用食品(トクホ)として表示許可することが「不適切である」と答申したノンアルコール飲料2品目について、許可したことを発表しました。

消費者委員会が「不適切」としていたのは、ノンアルコール飲料が、未成年者のアルコール摂取を促す可能性が払拭できないことなどが理由ですが、消費者庁は、許可にあたって、ノンアルコール飲料を酒類と同等に扱う業界自主基準の運用厳格化を条件にしたとしています。ただし、当日の記者会見で同庁担当官は、この判断にあたっては消費者委員会に事前説明をしていないことを認めています。

私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」は、業界自主基準を遵守することを条件にしてまで、消費者庁がトクホを許可すること自体が問題であり、それが遵守される保証はまったくないと考えています。

そもそもノンアルコール飲料は誰でも購入できる「清涼飲料水」であり、一行政機関が未成年者に販売しない等の条件を付けるのは矛盾しています。

しかも、今回のトクホ許可には、ノンアルコール飲料そのものの問題のほかに、消費者行政に対し監視機能を発揮すべき消費者委員会と、施策遂行を担う消費者庁との不適正な関係、トクホ制度の審査・許可への不信と、制度への監視体制の不透明さ、などの問題があることも明らかになりました。

以上の観点から、私たちは、ノンアルコール飲料のトクホ許可に抗議し、その撤回を求めるとともに、次のような意見を提起します。

【記】

1.消費者委員会は、自らの検討結果に基づき提示した「答申」が事前説明もないままに覆されたことを重視し、国民から付託された監視機能を適正に発揮するために、ノンアルコールのトクホ許可を撤回するよう消費者庁や内閣総理大臣に「建議」「勧告」すべきです。

2.アルコール飲料は致酔性(飲めば酔う)・依存性のある飲料で他の飲料とは全くことなることからトクホの対象には含まれていません。ノンアルコール飲料は、アルコール飲料と清涼飲料の壁を低くし、アルコール摂取へと促す危険性が大きく、未成年者飲酒を誘因する飲料であることを消費者庁は重視すべきです。

3.これまでの消費者団体の調査では、消費者は、ノンアルコール飲料をアルコール飲料の代替品と考えている人が多いことが明らかになっており、そのような飲料を国が推奨するトクホとして許可すべきではない。

4.そもそも消費者庁は、許可するにあたって条件を付け、その条件が遵守されなければ許可を取り消すとしていますが、その条件が遵守されることを保証する監視体制も明確でない中では、極めて無責任な判断と言わざるを得ません。経済優先の規制改革に重きを置く施策を根本から見直すべきです。

5.「エコナ問題」をきっかけにトクホの許可・更新・取り消しのあり方、その課題が明らかになったものの、その後の対策が一向に進んでいません。新たに機能性表示制度の導入も予定されていますが、消費者庁及び消費者委員会は、今回の問題も踏まえ、保健機能食品(トクホ、栄養機能食品)制度、機能性表示制度等について、関係省庁とともに、抜本的な総合的再検討に早急に着手すべきです。

以上