活動報告
活動
2015年2月27日 「健康産業新聞」の「主張」と私たちの公開質問状への「返信」内容に抗議します
当団体は2015年2月27日、UBMメディア株式会社宛て、『「健康産業新聞」の「主張」と私たちの公開質問状への「返信」内容に抗議します』を送付しました。
「健康産業新聞」の「主張」と私たちの公開質問状への「返信」内容に抗議
私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」は、このほど、1月13日付け「健康産業新聞編集長」あて公開質問状に対して、貴社からの2月3日付け「弊社編集長あての公開質問なる文書について」(以下、返信)を受け取りました。
極めて残念なことに、その「返信」は、私たちの公開質問への回答を拒否し、その理由として「こうした質問状を消費者団体と思しき貴団体からいただく根拠も見あたらない」「当紙は知的所有権に属する有料媒体」であり、「購読者に限定的責任を持つもの」であって「断片的な質問に関して購読者以外の不特定多数に回答するものでもない」とし、食品業界のオピニオンリーダーのように振舞おうとされている報道機関としては、驚くほど閉鎖的で傲慢な態度を表明されています。
その上、貴社「返信」は、「健康産業新聞」の「主張」欄で批判したT委員(立石幸一委員)について、一方では「T個人に興味もなく」「また個人を批判するものでもなく」、だから「あえてT委員としている所以」と匿名理由の一端を説明しながら、他方では、「Tなる人物について食品表示部会で事業者の立場を標榜し、事業者の声と異なる主張を繰り返していることに疑義があり」「文書改ざんの指摘を受けるなどの経歴」があり、「国民が政策を託す委員として望ましくない」などと「主張」欄での個人批判を再び確認するなど、私たちが問題としている「主張」欄が立石幸一委員の名誉を損なう内容であったことを、今にいたっても、謙虚に見据えようともしない、矛盾に満ちた内容を含んでいます。
しかも、貴社の「返信」は、5年前に発足した消費者庁および消費者委員会においてなぜ食品表示の課題を検討することになったのか、その経緯や、その検討の社会的要請について注意をはらうこともなく、「事業者の立場」や「事業者利益」が「消費者の利益」「消費者の権利」とどう関連してくるのか、といった貴社の「主張」欄に対する私たちの疑問・質問には一切答えようとせず、ただ「購読者以外には答えない」と一方的に回答を拒否されています。まさに報道機関にあるまじき「返信」内容と言わざるを得ません。
私たちは、貴社発行の健康産業新聞の「主張」欄が立石幸一委員の名誉を損なうだけではなく、消費者委員会や消費者庁、及びそれら機関に設置された検討会等の役割に関する貴社の認識において「おかしい」と思われる点を記載内容に即して指摘し、貴社の判断の根拠とその対応について質問しました。
しかし、貴社はその肝心な点について「返信」において回答を避けることを表明し、あろうことか、私たちの公開質問状に対し、当ネットワークが本当に作成・提出したものなのか、公開質問状は立石幸一委員が記載したものではないのか、T委員と立石委員は同一人物なのか、同委員は、当ネットワークの役員ではないのか、同委員は消費者団体に所属しているのではないのか、など、全く的外れの憶測のもと、「返信」での記載のほとんどを、その真偽の確認を求めることに費やしています。
このような貴社の質問について私たちは、公開質問状の提出とその質問項目に対し、それを素直に受け止められない貴社が、真実から目をそらしたい一心での願望が現れたものと思っていますが、いずれにせよ、真面目な報道機関としての姿勢は微塵もなく、言語道断と言わざるを得ません。
貴社からの質問に対しては、私たちは次のように事実を回答するのみです。
1.1月13日付け公開質問状は、私たち食品表示市民ネットワーク(代表・神山美智子)で検討・作成・確認して貴社に提出したものである。
2.立石幸一委員は、生産者・事業者委員として消費者委員会食品表示部会の委員をしていることから、私たちが主催した「メディア懇談会」に審議の経緯の説明を求める講演をお願いした経緯があるが、当ネットワークの役職員でも役員でもない。この「メディア懇談会」の模様はいくつかのメディアでも報道されている。
3.貴社は、公開質問状は立石委員が執筆したものではないか、などと当ネットワークに問うているが、それは全くの悪意に満ちた邪推であり、それ自体が、立石幸一委員の名誉を傷つけるものである。
それにしても、貴社は「事業者の立場」であれば「その発言はこうあるべきである」とあらかじめ狭く断定され過ぎているように思えます。却って目の前のダイナミックな事実の推移が見えない、あるいは見ようともしないで自らを縛っていると考えざるを得ません。貴社の想定する「事業者の立場」を貴社自身が明確にしていないために、そのステレオタイプの情報分析手法は私たちの憶測でしかありませんが、それが貴社の取材・報道活動にどんな影響を及ぼしてくるのか、的外れな私たちへの質問と、問われているのは貴社であるのにそれを受け止めることのできない貴社の、真摯さが欠如した今回の対応姿勢を見るとき、その点が懸念されます。
消費者行政の推進が求められる中にあって、健康産業新聞の「主張」欄と今回の返信内容は、食品表示情勢についての貴社の認識の一端を表象したものと考えます。それ故に、私たちが公開質問状で示した事実への真摯な把握、問われたときに必要な、根拠についての納得できる説明は、「言論」を担う報道機関の重大な責務であるとともに、「業界紙」であれば、業界健全化への一里塚とも考えます。それを貴社が回避していることは、食品業界全体への消費者の信頼感を失うことにもつながりかねません。
私たちは、そのような責務・役割を放棄している貴社の「主張」欄と今回の返信内容に、厳重に抗議します。
以上
2015年2月3日 健康産業新聞2014年11月5日号「主張」欄への公開質問に対する回答が届きました
当団体は2015年1月13日、UMBメディア株式会社「健康産業新聞」編集長様宛てに「健康産業新聞2014年11月5日号「主張」欄への公開質問を行ないました。その公開質問に対して、UMBメディア株式会社様より、2015年2月3日付文書『「弊社編集長あての公開質問」なる文書について』が届きましたので、公開いたします。なお、全文掲載の了承を得ております。
「弊社編集長あての公開質問」なる文書について UBMメディア株式会社
2015年1月13日 健康産業新聞2014年11月5日号「主張」欄への公開質問
2015年1月13日、UMBメディア株式会社「健康産業新聞」編集長様宛てに昨年11月5日号「主張」欄への公開質問を行ないました。
【本文】
昨年11月5日号「主張」欄への公開質問
私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」は今年1月になって、貴紙「健康産業新聞」が、2014年11月5日号「主張」欄で、「(消費者委員会の食品)表示部会は、文書捏造の疑惑の委員にいつまで施策決定の議論をさせるのか・・・」という題のコラムを掲載していることを関係者からの情報提供で知りました。内容は個人攻撃を主体とした傲慢な姿勢に満ちたもので、取材不足と深刻な表示問題への極めて浅い認識で書かれたものと考えます(概要を別掲)。
私たちは、これまで食品関連の「いわゆる業界紙」にあっても、ジャーナリズム活動にかわりはなく、真実追求と真実報道を目的とした「言論の自由」を担う責任機関であると位置付け、どのような報道機関であっても取材に応じてきました。事実に基づく真実追求こそが、業界の適正化につながり、社会的信頼を醸成する道筋であり、その責任を「いわゆる業界紙」も担っていると考えてきたからです。
ところが、貴紙の「健康産業新聞」の「主張」欄は、主張の前提となる事実について、当時者への取材もないままに、食品表示問題への浅い認識と表現力の欠如もあって、かえって真実から遠ざかり、何よりも貴紙が俎上(そじょう)にあげているT委員(立石幸一委員)の社会的信頼性を失墜させ、結果として、食品業界全体の信頼感を喪失させる内容となっています。
報道機関は、「正しい情報提供」と「言論活動」という両面の内実が常に問われる社会的責任を担っています。言論活動の弱さを「情報提供」で補うことはできません。今回の「主張」欄は、はからずも、貴紙のコラム欄に示された「言論」がいかに思慮浅いものか、業界専門紙でありながら、前提となる事実の分析力がいかに危ういものであるかを物語っています。それだけにT委員(立石幸一委員)の名誉を一方的に損なう結果となり、人権を無視する内容となっています。「主張」欄を読む限り、貴紙は、食品業界のオピニオンリーダーであるかのように自らを位置づけられていますが、このような「主張」内容では、ますます、健康食品業界の社会的信頼感は失われていきます。
私たち「食品表示問題を考える市民ネットワーク」は、貴紙の2014年11月5日号「主張」欄に対し、以下の点について公開質問します。なお、ご回答は1月31日までにお願いします。ご回答については、当「ネットワーク」ホームページにて公開することをあらかじめ申し添えます。
【質問事項】
1.「事業者(代表)を自称するT委員」とは立石幸一委員のことであることは公開審議の出発点から公のことですが、「主張」欄ではなぜ、「T委員」と匿名にしているのですか。公開での発言であり、氏名も公開され、しかもそれが容易に特定できるのに、敢えて匿名にした理由は何ですか。また、個人批判を中心とする主張でありながら執筆者名を記載していないのはなぜですか。
2.T委員の「不規則発言」という言葉が何カ所かに登場しますが、どの発言が「不規則」なのですか。また、それを「不規則」と判断された理由は何ですか。
3.「事業者の多くが存続を求める固有記号」との記載がありますが、そう主張される根拠は何ですか。
4.T委員のことを、「事業者の立場だとしながら(固有記号)廃止論の急先鋒に立ち、事業者の主張とは真逆の廃止論を振りかざししている」と記載されていますが、T委員の主張のどこがどのように問題なのですか。
5.「事業者の意向とは異なる政策が進みつつある現実」とはどのような「現実」のことを指しているのですか。
6.T委員を「引きずりおろせ、誰が推薦したんだ、との声もあがり」「消費者庁の政策決定への疑問も出始めた」との記載がありますが、「引きずりおろせ」との「声」は誰が誰に対して「あげた」ものですか。また、消費者委員会検討会の一委員に過ぎないT委員の発言が別機関である「消費者庁の政策決定への疑問も出始めた」という記載へとつながる根拠は何ですか。このような行政への「圧力」があったかのように示唆される記述の根拠を明らかにして下さい。
7.トランス脂肪酸に関する検討については、「文書捏造の疑惑」と記載しつつも、「この人物が提出した捏造文書」「文書捏造などの奇行が指弾されている人物」と断定的な記述も見られます。貴紙は、T委員の文書に関する食品安全委員会の対応に対し、消費者団体などが食品安全委員会に抗議書を提出したことをご存知ですか。その内容についてどう思われますか。T委員について「文書捏造などの奇行が指弾されている人物」と一方的・断定的に記載したことで、T委員の名誉を著しく損なう内容となっていますが、この点についてどう認識されていますか。
8.「主張」欄は、「問題の人物の即時の更迭」を求め、そうなっていない状況を「表示部会の品格を傷つける事態」と記載していますが、「部会の品格」とは具体的に何をさしていますか。
9.「そもそも、事業者がほとんど知らないこの人物」とT委員のことを記載していますが、この知らない「事業者」とはどのような事業者のことを指しているのですか。
10.「事業者側が固有記号廃止を受け入れなければならなくなると、もはや部会は無用の長物と言わざるを得ない」と記載されていますが、仮に部会が、製造所固有記号を原則廃止へと明確化することを結論づけたなら、なぜ、そのような結論を出す部会が「無用の長物」となるのですか。
11.そもそも、健康産業新聞の「主張」欄は、「事業者の利益」と「消費者の利益」、その関係をどうお考えなのですか。
私たち、「食品表示を考える市民ネットワーク」では、今回判明した健康産業新聞の「主張」欄は、部分的な事実のつまみ食いと、報道機関が避けるべきひとり相撲の思いこみ、及び、多面的な取材活動の回避や深い洞察過程からの意図的な逃避など、ペンを持つものが本来はしてはならない表層的な行為に基づいて作成されたものと思わざるを得ません。同欄で個人批判の対象にされたT委員への取材もせずに、「捏造」「奇行」「問題人物」「引きずりおろせ」「奇っ怪なのは更迭させないこと」など、一方的にその名誉を損なう記述で埋めていることは重大な問題と考えます。個人が特定される匿名などはそもそも匿名の名には値しません。それは執筆者や新聞社の責任回避という無責任さを示す行為です。上記質問事項について、1月31日までの回答を求めます。
以上
【参考】
健康産業新聞2014年11月5日号「主張」欄 同欄には次のように記載されています。
■事業者(代表)を自称するT委員が、消費者委員会の表示部会で不規則発言を繰り返している
■事業者の多くが存続を求める固有記号についても、事業者の立場だとしながら廃止論の急先鋒に立ち、事業者の主張とは真逆の廃止論を振りかざしている
■この人物がどのような経緯で委員となったのかも不可解
■4月のトランス脂肪酸の議論では遂に文書捏造の疑惑が飛び出してきた
■その時点で「更迭」は不可避とみられていたが、表示部会は何の処分も行わず議論を続行している
■問題の人物だが、例えば、会議時間の多くを意味不明の自己主張で占有したり「消費者庁を事業者庁に変えろ」などの不規則発言を繰り返し、固有記号問題でも事業者(代表)と称しながら、事業者の声とは真逆の廃止論を展開してきた
■このような不規則な表示部会で、事業者の意向とは異なる政策が進みつつある現実を事業者は知らない
■話が伝わるにつれ「引きずりおろせ」「誰が推薦したんだ」などの声も上がり、消費者庁の政策決定への疑問も出始めている
■トランス脂肪酸に関する表示部会で、この人物が提出した捏造文書が問題となった
■奇っ怪なのは、この時点で表示部会はこの人物を更迭せず、未だに固有記号などの政策議論に参加させていることだ
■食品表示問題は産業界にも重要で、消費者行政全般に関わる問題。部会の品格を傷つける事態を消費者委員会の出来事と看過してよいのだろうか
■事業者がほとんど知らないこの人物が、事業者の主張と相入れない議論を展開し、その結果、事業者側は固有記号廃止を受け入れなければならなくなると、もはや部会は無用の長物と言わざるを得ない
■ましてや文書捏造などの奇行が指弾されている人物を政策決定の委員として許容し、政策議論を進めるとなると、表示部会や消費者委員会のコンプライアンスは一体どうなるのか
■問題の人物の即時の更迭と併せて、このような問題委員が事業者代表として選出された経緯や、推薦者の推薦責任も明らかにし、同じ誤りを繰り返さない仕組み作りと迅速な議論の正常化を求めたい
2014年11月7日 食品表示基準案「答申書」へ反対の意思を表明するとともに消費者委員会に抗議する文書を提出
消費者委員会に厳重に抗議するとともに食品表示基準の「答申」内容に強く反対します。
2014年11月7日、消費者担当大臣、消費者庁長官、消費者委員会委員長宛てに、消費者員会の食品表示基準案に関する「答申書」への反対の意思を表明するとともに、消費者委員会に抗議する文書を提出しました。
食品表示基準「答申」への反対意見および消費者委員会への抗議文
消費者委員会は、同委員会「食品表示部会」が10月31日に食品表示基準案に関する「答申書案」を同委員会に提出したことを受け、同日、内閣総理大臣にその内容を踏まえた「答申書」を提出しました。この答申書は、消費者から批判の強い消費者庁提案の食品表示基準案をそのまま認めるものであり、事業者の利益のみを最大限重視した内容です。答申書案を検討した同委員会食品表示部会の検討経緯にも疑問がもたれています。同部会は、10月15日には消費者庁案に「反対し修正を求める」内容だった答申書案を、わずか2週間後の31日には、消費者庁案にことごとく「賛成する」内容へと180度転換させる結論を出しました。答申にいたる検討経過、及び内容については、不透明極まりない重大な疑義がもたれる前代未聞の答申となっています。
一つの例として、消費者委員会「食品表示部会」は、部会全体のコンセンサスを得るための丁寧な検討を放棄し、項目ごとに「多数決」を採用するなど、およそ「消費者の権利の尊重」に軸足を置くはずの食品表示に関する検討には馴染まない方式を採用しました。一般に、施策決定に多数決を導入するには、委員会構成の公平性について、及び一人ひとりの委員について、国民・消費者の納得と信頼・確認を前提としますが、その検証もなされないままに、安易な審議方式が採用されました。部会委員の選任方法をはじめ、部会での少数派の意見をどう尊重するかという民主主義の基本すら考慮しない、独善的な審議方法がとられたのです。この点も前代未聞です。
答申にはパブリックコメントで寄せられた多くの消費者の意見が反映されていません。むしろ、安全の権利、知らされる権利、選択する権利など、「消費者の権利」を侵害する内容ばかりとなっています。「権利」と「利益」の混同が見られます。
本来、消費者行政を消費者目線から監視する機能をもつ消費者委員会にあっては、事業者の利益のみを重視した消費者庁案に対しては、消費者の権利を守る立場からの「建議」の提起によって、その姿勢をただすのが国民・消費者の期待にかなう消費者委員会のあり方のはずです。
にもかかわらず消費者委員会は、その重大な役割を認識せず、消費者庁の施策提案に反対すらできず、消費者の期待に応え得る姿勢を貫くこともせず、消費者の望まない食品表示基準案に賛同するという極めて大きな過ちを犯しました。このような消費者委員会にあっては、今やその存在意義すら厳しく問われているものと思わざるを得ません。
今回の答申書案は、国民・消費者から付託された消費者委員会の権限を自ら放棄するものであり、消費者の権利の尊重へ向け「独立して職権を行う」と設置法で保証された消費者委員会委員の、その法的権限すら放棄するものです。
私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」は、以下のように、今回の答申書に反対を表明するとともに、消費者委員会に対し、厳重に抗議します。
【記】
1. 実施経過措置「5年」への延長は撤回すべきです
消費者委員会「食品表示部会」が10月15日に提示した最初の答申書案の付記では、表示実施の経過措置期間について消費者庁が示すような「5年という比較的長い経過措置期間を設ける必然性を確認できない」とし、「消費者庁案は不適当」とする判断を示していました。ところが、2週間後の10月31日の答申書案は、消費者庁からの様々な「出来ない理由」をすべて受け入れ、5年延長などを認める見解を示し、消費者委員会もそれを了承するに至りました。食品表示一元化の検討期間を含めると、実施までに10年以上をかけることになります。「5年延長」の方針はすみやかに撤回すべきです。
2.製造所固有記号は廃止し、製造所名や所在地を記載するという原則に戻すべきです同制度は廃止し、製造所所在地及び製造者の氏名を表示する本来の原則へと戻すべきです。
答申は、同一商品を2つ以上の工場で製造する場合に製造所固有記号の使用を認め、業務用食品をその対象外とする消費者庁案を了承しました。しかし、消費者からのパブリックコメントをはじめ、部会委員の中にも、この措置について反対の意見が散見していました。製造所固有記号は、現在、事業者の利便性を図るためだけの制度であることが、私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」の調査でも判明しています。
3.栄養成分の義務化に関する「小規模対象事業者」を消費税法規定に限定すべきです
答申は、表示を省略できる小規模事業者の考え方について、「当分の間、中小企業法にもとづく小規模企業者を対象にする」との消費者庁案を了承しました。しかし、すべての加工食品の義務化を前提とすることを踏まえるなら、期間があいまいで、要件に抜け穴の可能性が指摘され、消費者に混乱をきたす消費者庁案は採用すべきではありません。これも事業者の利益のみを考慮し、消費者の権利をまったく尊重していない措置であり、当初の予定の通りに消費税法規定の小規模事業者に限定するとともに、すべての事業者が表示するよう早急に対策を講ずるべきです。
4.栄養強調表示(減塩)
答申は、ナトリウム量の低減された旨の表示について、25%ルールからしょう油と味噌を除外する消費者庁案を了承しました。このような特例を認めることは、表示についての消費者の混乱を招くことにつながり、特例を認めない基準を示すことこそ、一元化の目的にかなうものです。特例措置は撤回すべきです。
5.任意ナトリウム表示は食塩相当量を前にもってくるべきです
答申は、栄養成分表示に関するナトリウムの表示に関して、食塩相当量の記載を原則とし、「ただし、ナトリウム塩を添加していない食品に限り、任意でナトリウムの含有量を表示することができるとし、その場合の表示は、ナトリウムの量の次に食塩相当量を括弧書き等で表記する」という消費者庁案を了承しています。消費者が知りたいのは「食塩相当量」であることを考えるなら、任意であっても食塩相当量を統一的に先に記載すべきです。
6.検討に際しての多数決方式採用についてその理由と経緯を明確に説明すべきです
今回の消費者委員会の答申にいたる過程の中で、最も不透明なのは、食品表示部会の検討で、突然、多数決が採用されたことです。また10月15日と31日の検討では、答申書案の結論が180度転換され、全く逆のものとなったことも極めて不透明です。
内閣総理大臣(消費者庁)からの諮問項目について「10月24日時点での各委員意見」が10月31日の部会資料として公表されていますが、ここには、諮問項目に「不賛成」を表明している委員が項目ごとに「3人」から「6人」の範囲で存在しています。最も多い「不賛成」は「製造所固有記号」に関する「6人」で、「経過措置の延長」についても「5人」の「不賛成」が記載されています。しかも、記載されているのは「不賛成」のみであり、消費者庁案に「賛成する」との意見数は記載されていません。
部会の構成を見ると、部会長と部会長代理は消費者委員会委員が兼ねています。この方々がそもそも採決の対象に入るのか議論あるところです。それらの人々を除外すると、委員数は14人となります。14人の中で、「不賛成」を「6人」もの委員が表明するのはどんな事態でしょうか。それを押し切っての「答申」にどんな信頼あるいは信ぴょう性があるというのでしょうか。
また、これまでの議事録を見ても、自らの意見を公の場でまったく表明していない委員がいたり、消費者代表と言われながら、事業者委員から「消費者代表とは考えられない意見」と批判されたりした委員も存在します。委員構成、及び、委員人選、その責任を考慮しない中での、意図的な審議運営だったと思わざるを得ません。
多数決は、およそ「消費者の権利の尊重」を前提とした食品表示に関する検討には馴染まない方式です。事業者の「利益」が消費者の「権利」と比較されることはできません。にもかかわらず、消費者委員会は、消費者と事業者の意見のバランスを考えて検討しているという消費者庁の説明そのままに、「消費者と事業者の利益を調整する」という旧来の「霞が関行政」の悪弊をそのまま受け入れています。
前述したように、部会委員の選任方法をはじめ、部会での少数派の意見をどう尊重するかという民主主義の基本すら考慮しない運営がなされたこと、これは、組織を独善的なものへと導くものです。
この点を踏まえた上で、消費者委員会は、今回の答申について、その過程で、多数決方式を採用したのはなぜか、その理由と経緯を明確に国民・消費者に明らかにするとともに、今一度、「消費者の権利の尊重」と「委員は独立して職権を行う」ことを明記した消費者委員会設置法の精神を遵守することを訴えます。
そして、何よりも、消費者委員会の委員は、同委員会の存在意義が厳しく問われる事態になっていることを真摯に、危機感をもって認識し、消費者の期待に応えられ得る消費者委員会へと適正化を図っていくことを求めます。
以上
2014年10月10日 消費者庁が提示したパブコメ後の食品表示基準変更案へ意見書を提出
役割果たさない消費者行政、消費者目線しっかり持って ~逆戻りの「事業者優先」、消費者の権利を尊重し新食品表示基準見直しを~
2014年10月10日、消費者担当大臣、消費者庁長官、消費者委員会委員長宛てに、消費者庁が提示したパブコメ後の食品表示基準変更案へ意見書を提出しました。
食品表示基準変更案への意見書
消費者庁は9月24日、新しい食品表示基準案を消費者委員会食品表示部会の会合で公表しました。パブリックコメントの結果を踏まえたとされながら、その内容は当初案以上に、大幅な緩和措置が盛り込まれています。食品事業者の意向を重視し、その要望のみを受け入れたものと思わざるを得ません。中にはこれまで検討もされてこなかった事業者向け例外措置も含まれており、事業者寄り基準案となっていることが最大の特徴です。
また、パブリックコメントが実施され、その結果を集計中の「機能性表示制度」に関する食品表示基準案も事業者優先の措置が随所に散見し、「消費者目線」が反映されていません。消費者被害をかえって増長させるものと判断せざるを得ません。
私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」では、食品表示法で明記された理念に沿って、安全の確保や知らされる権利、合理的選択のできる権利など、「消費者の権利」を尊重する表示基準となるよう、たびたび消費者庁及び消費者委員会に要望してきました。
しかし今回提示されたこれらの食品表示基準案は、消費者が指摘してきた当初の不十分な「案」以上に後退したものであり、消費者の権利をないがしろにするものです。
以下、「全般的要望」及び「個別的要望」について、その理由と、改善項目を提起します。
【全般的要望と改善措置要求】
- 表示基準案について パブリックコメントの集計・分析結果の概要が公表されたが、消費者庁が採用した事業者の意見の中には、栄養成分表示の義務化対象から除外される事業者の範囲についての実態把握など、消費者庁自らその事実確認をしていない項目があることが明らかになりました。不明確な事業者の意見のみを施策に反映させ、消費者側からの意見をほとんど採用していない理由について、消費者庁はきちんとした説明責任を果たすことを求めます。
- 新表示基準実施までの猶予期間が「加工食品2年」「添加物1年」となっていた当初の基準案が「5年」へと突然延長され、「生鮮品」も「法施行と同時」だったものが「1年半」へと延長されています。この表示実施の猶予期間延長は事業者からの要望と思われますが、消費者庁が「5年」とする判断に突然踏み切った理由と経緯について、消費者・国民に明確な納得ある説明を求めます。
- 消費者行政を監視する機能を持つ消費者委員会は、「報告書」で提示した自らの意見と「消費者庁案」として提示された基準案変更内容について、その違いを深刻に受け止めるとともに、「諮問―答申」の形ではなく、消費者庁案に対する消費者委員会としての自らの意見を文書にて早急に表明すること。消費者委員会に国民から付託された第三者機関としての主体性をもち、独自の監視機能の責任をきちんと果たすことを求めます。
- 消費者庁は機能性表示制度について消費者被害防止の観点から、より「消費者目線」に立った制度設計を再検討すること。
【個別的要望と改善措置要求】
- 「加工食品」「添加物」「生鮮食品」の経過措置期間をそれぞれ「2年」「1年」「施行同時」から「5年」「1年半」へと延長する措置は、消費者の権利を軽視する措置であることから、撤回を求めます。
- 製造所固有記号を廃止し、製造所及びその所在地を明記するという本来の原則に戻すことを求めます。
- 業務用食品について、製造所及びその所在地を消費者に知らせる対象から「除く」とする変更措置については、業務用・消費者用の区別がなくなりつつあることや、その区別を行政が把握できていない現状にあっては、この措置の撤回を求めます。
- ナトリウムの表示について、義務表示としてのナトリウムの量については、「食塩相当量」で表示するとなっており、当初のパブコメ案では、「食塩相当量の次にナトリウムの量を括弧書き等で併記する」となっていたのを、任意に「ナトリウム」の量を表示する場合、「ナトリウムの量の次に(食塩相当量)を記載すること」とする変更案が示されました。この消費者庁の変更案は、食塩摂取の低減などを求める消費者の意向に反するものであり、かえってわかりにくい表示となるため、この変更案の撤回を求めます。
- 栄養成分表示の義務化についての小規模事業者の考え方について、パブコメ案では「消費税法九条に規定する小規模事業者(課税売上高が1,000万円以下の事業者)」としていたのを、「当分の間、中小企業基本法で規定する小規模企業者(常時の従業員数20人以下、農業・サービス業に属する事業を主たる事業として営む事業者については5人以下)などについて栄養成分表示の省略を認める」と変更案が提示されました。当初案である前者の方が行政も把握・監視できるという点で、より現実的・妥当です。しかも、提示された「当面」の措置としての中小企業法での「小規模企業者」では、比較的規模の大きな事業者に対しても対象外となる可能性があります。従って、この変更措置の撤回を求めます。
- 栄養強調表示に係るルールの見直し、低減強調表示については、一律に「25%以上の相対差が必要」とのパブリックコメント案に対し、消費者庁は「ナトリウムについては、食品の製造工程上、25%以上その量を低減することが困難な食品については、相対差について特例を認める」との変更案を示しました。これは特定の事業者の意向を踏まえたものであり、「特例を認める」ことは大きな後退と言わざるを得ません。変更案の撤回を求めます。
- 変更案の対象外となっているトランス脂肪酸については、リスク回避を求める「消費者の権利」を踏まえ、栄養成分の義務表示に含めることを求めます。
このように、食品表示基準案は、重大な問題を含んでいます。早急な対応を図るとともに、食品表示基準策定で後回しにされている「加工食品の原料原産地表示」「食品添加物の表示」「遺伝子組み換え食品表示」に関しても、早急な全面見直し検討に着手することを求めます。 以上の意見に対して、文書による回答を10月20日までに下記連絡先まで送付願います。
以上