4月12日 再度、自民党国会議員の暴力行為に対して抗議書を提出しました。

2016年4月4日、自由民主党の安倍晋三総裁、自由民主党谷垣禎一幹事長、自由民主党山田俊男参議院議員に対して、下記の通り抗議書『再度抗議します 山田俊男議員は被害者に誠意ある謝罪を~国会議員は消費者・国民軽視の姿勢を正してください~』を提出しました。

自民党・国会議員への再抗議書

【再抗議書】

自由民主党・山田俊男参議院議員の暴力行為に対する私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」の4月4日付け抗議に対し、山田議員が「本件については解決済み」と記載した文書を、関係機関に提示していたことがわかりました。被害者であるJA関係者への誠意ある謝罪もなく、被害者の納得も得ないままの、一方的な「宣言」です。

その内容は暴力行為に至る経緯やその後の対応について、事実とは異なる虚構に基づく主張であり、卑劣な行為を隠蔽するものと言わざるを得ません。

山田議員が4月7日付けでJA関係機関を通じて被害者に提示した文書には、暴力行為について「本件はすでに(JA関係機関を通じて)貴殿(被害者)に謝罪し解決済みであると理解している」と一方的に「解決済み」を通知、あたかも山田議員が被害者に謝罪をし、被害者もそれを了承しているかのような記述となっています。

しかも、直接の暴力行為については「双方議論が白熱し過ぎ」て「貴殿の胸を強くついてしまった」「売り言葉に買い言葉的な状況の中での出来事とはいえ、大人げなかったと反省している」などとして、無抵抗の被害者への全治1週間という殴打の事実を認めようとせず、むしろ隠そうとしている点や、「売り言葉に買い言葉」など被害者にも非があるかのように同意させようとする意図がうかがえるなど、とても「反省している」とは言えない内容です。当然ながら、被害者は山田議員の主張に納得も了承もしてはいません。

山田議員は被害者に対し、公の場で、威かく・どう喝する言葉を何度も吐き、あげくに無抵抗の被害者の胸を右こぶしで2回殴打したのです。

この言動には、消費者・国民の権利・利益を守るべき国会議員としての一片の品格も資質も大羲もありません。あるのは、ただ、ごう慢、おごり、慢心という姿勢です。山田議員は暴力行為がマスコミ報道された後も、事実の隠ぺいを図ることを優先し、暴力行為自体がなかったかのように演出することに汲々とし、もっとも優先すべき被害者への誠意ある謝罪も十分ではありません。私たちの4月4日付け抗議への真摯な対応も見られません。

私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」は、山田俊男議員に再度、厳重抗議するとともに、当ネットワークは暴力事件発覚後の山田議員の対応にも消費者・国民を軽視する姿勢が如実に現われていると判断し、以下の点について改めて要求します。

1.山田俊男議員は、早急に被害者に誠意ある謝罪をしてください

2.自由民主党は、責任ある政権与党として、ごう慢、おごり、慢心を示す今回のような国会議員の行為に対し、厳重な措置を講じてください

以上

 

4月4日 自民党国会議員の暴力行為に対して抗議書を提出しました。

2016年4月4日、自由民主党の安倍晋三総裁、自由民主党谷垣禎一幹事長、自由民主党山田俊男参議院議員に対して、下記の通り抗議書『自由民主党・山田俊男議員は誠意ある謝罪を~国会議員のおごり、慢心、ごう慢、国民愚弄に厳重に抗議します~』を提出しました。

自民党・国会議員への抗議書

【抗議書】

政府を代表する閣僚や国民から選出された国会議員の資質が問われる言動が相次いでいる中、今度は、発言の真意を質そうとしJA関係者に対し、「何言ってんだ、本当にぶんなぐるぞ」などと威嚇・恫喝し、無抵抗の人の胸部を数度にわたり拳で強く殴打した国会議員の卑劣な暴力事件が発生しました。

これは3月18日、自民党農林水産業骨太方針策定プロジェクトチームの会合が行われた会議場において、食品表示改善へ向けて共に検討してきたJA関係者が、自民党参議院・山田俊男議員の加工食品の原料原産地表示をめぐる一連の不明朗な発言について、その明確さを求めて同議員に真意を質そうとしたときに凶行されたものです。

この山田議員の行為は、決して許されるものではありません。山田議員の短絡さ、狭あいさ、相手の主張を暴力で封じ込めようとした安直さ、このことが、政権与党自民党所属の国会議員という権力を持つ者の行為として、私たちは事態の深刻さにあんたんたる気持ちを感じます。

被害者によると、殴打された左胸部は赤く腫れあがり痛みの伴う打撲傷を負い、医療機関から全治一週間の診断書が出ているということです。しかし、山田議員は、2週間以上経った今日に至るも、被害者に一片の謝罪をすることもなく、自らの恥ずべき行為について、自ら反省することもなく、事態の深刻さと重大性から目をそむけています。

相手の言論を力で封じ込め、聴く耳を持たずに、自らの主張を押し通そうとして暴力に及ぶ行為は、相手を人として尊重していないばかりか、むしろ人を愚弄する卑劣な行為です。それが国会議員によって凶行されたことに、私たちは強い憤りを覚えます。この憤りは、消費者・国民から付託された権力を持つ者の大いなる誤解、権力者のごう慢、慢心、おごりなどに対する消費者・国民の当然の心情です。

政権与党自民党にあっては、このような消費者・国民の憤りに対して、真摯に対応すべき責務があります。

本来、国会議員は民に先んじて憂い、民のあとでの楽を望む利他の心柱を兼ね備えた政治家であるべきと考えますが、今回の山田議員の行為は、国会議員として体現すべき信頼感を地に落としこめ、自民党のコンプライアンス体制にも重大な疑問を投げかけるものでもあります。

私たちは山田議員の暴力行為に厳重に抗議し、以下のように要望を提起するとともに、関係各位に迅速な対応を求めます。

1.山田俊男議員は、当該被害者に誠意ある謝罪をして下さい

2.自由民主党は政権与党としての責任を果たすために、今回のような党所属国会議員のおごり、慢心、ごう慢、国民愚弄などの言動について、衿を正して厳しく対処して下さい

以上

【参加団体】 食の安全・監視市民委員会/主婦連合会/新日本婦人の会/生活クラブ連合会/グリーンコープ共同体/大地を守る会/NPO法人日本消費者連盟/遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン/我孫子市消費者の会/千葉県消費者団体連絡協議会/東京都地域消費者団体連絡会/たねと食とひと@フォーラム

NPO法人食品安全グローバルネットワーク

1月28日、食品安全監視体制の抜本的強化・充実を求める要望書を提出しました。

2016年1月28日、内閣総理大臣および、厚生労働大臣、農林水産大臣、環境大臣、消費者及び食品安全担当大臣、消費者庁長官宛てに、要望書「食品安全監視体制の抜本的強化・充実を~教訓化されない汚染米事件、廃棄ビーフカツの再販売事件は氷山の一角です~」を提出しました。

食品安全監視体制の抜本的強化・充実を求める要望書

1月13日に発覚した廃棄対象食品の「横流し・再販売事件」は、日本の食の安全性がまったく確保されていない危険な状況に置かれていることを示しました。端緒となった大量のビーフカツを販売していた店舗数は愛知県だけでもビーフカツの65施設、弁当製造の24施設、卸売業者20事業所にものぼっています(1月21日現在)。食べてはいけない「横流し食品」はビーフカツに留まらず、チキンカツ、びんちょうマグロ、フライドポテト、チョコレート、お菓子、竹の子煮、ソーセージ、味噌、インスタント味噌汁など108品目にまで拡大し、それらほとんどの流通先はいまだ不明のままです。広域・大規模な違反食品販売が放置され続けてきたことが明らかになっています。

管轄行政機関による調査はいまだ終結をみていませんが、私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」は、今回の事件発覚が、店舗で市販品を偶然に見た関連従業員による通報を契機としたことを考えると、食品安全監視体制がほとんど機能していない全くの「無法地帯」となっている実態を示したものであり、今回のような危険食品の違法販売は氷山の一角であると断言せざるを得ません。

今回の事件は2008年の「事故米不正転売事件」(工業用の汚染米を食用として横流ししていたことが発覚し、米トレーサビリティ法制定の契機となった事件)をまったく教訓化しておらず、食品の安全性を省みない、ただただ事業者利益のみを優先した、消費者の安全の権利を踏みにじる極めて重大な悪質行為と位置付けられます。国内製造品のみならず、日々増加している輸入食品への監視チェックの不十分性をも示唆するものであり、消費者の食品全般への不安感をいっそう高めることとなりました。

さらに1月21日には、福島県内の小中学校でヒスタミン食中毒事故も発生しました。加工会社から納入されたサンマのすり身が、事業者間取引の過程で期限表示ラベルがはがされ、冷凍保存され、消費期限を5カ月も超過したまま、給食の食材として利用されてしまい、87人もの児童・生徒などが生命を危険にさらされる重大なヒスタミン中毒の被害を被ったという深刻な事故です。より安全であるべき給食の食材も一向に安全ではないことが明らかになりました。適正な表示・情報が事業者間で伝達されないままのトレーサビリティ不在と食品安全監視機能不全の現状は、今後も重大事故を招く温床ともなっています。

私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」は、これら一連の事件・事故で明らかになった点を示すとともに、以下のように、早急な食の安全監視体制の抜本的強化・充実を求めます。

◎これらの事件・事故で明らかになったこと

(1) 廃棄対象食品に関する処分実態の不透明性

■食品メーカー等廃棄委託事業者の廃棄作業の確認・チェックの不十分性

■管轄行政機関の廃棄事業者の確認・チェックの不十分性

■再流通・再販売などの違法食品に関する販売事業者の確認・チェックの不十分性

■再流通・再販売品などの違法販売品に関する表示監視の不十分性

■トレーサビリティ体制(追跡可能体制)の不十分性と行政監視機能の欠落

(2) 自主回収食品の対応実態の不透明性

■自主回収食品の廃棄及び改善後に再流通する際の監視チェックの不十分性

■自主回収食品の改善後再販売される際の表示の不十分性

以上の問題点を踏まえ、下記項目を要望します。

1.廃棄物処理法、食品リサイクル法等の運用・監視機能の強化を

■契約書・マニフェスト(産業廃棄物管理票)・帳簿類の監視・チェック体制強化

■飼料・肥料・堆肥等へのリサイクル転用に関する監視・チェック体制の強化

2.食品安全監視体制充実への人員・予算の拡充と食品トレーサビリティ法の制定を

■食品添加物を含む食品表示監視全般について消費者庁だけではなく厚生労働省・農水省と共管・連携する体制の整備・充実を図ること

■国内流通食品の品質・表示に関する監視体制の強化・充実を図ること

■食品衛生法を改正し、申告制度を導入すること

給食の食材を含む食品全般を網羅した食品トレーサビリティ法制度を制定・導入すること

3.輸入食品の監視体制の強化を■輸入食品における積戻しや廃棄対象食品等の処分実態の調査と結果の公開

■輸入食品表示の監視を消費者庁と厚生労働省の共管とし、監視・チェック体制の整備・強化・充実を図る

4.食品を含むすべての消費者関連商品・製品対象の「リコール基本法」(仮称)制定を

 

今回の事件では、違反食品摂食による事故発生が明確でないことへの懸念や、自主回収品等の処分実態が不明な商品があること等が問題となりました。事態改善には、私たちが従来から主張してきたように、すべての消費者関連商品・製品のリコール対応について、事業者・行政の責任等を明記した業界横断的な「リコール基本法」(仮称)の制定も急務と考えます。同法には次の規定を盛り込むことが必要です。

■安全性に関連した自主回収の報告義務化の創設と違反事業者への罰則導入

■食品を含むすべての消費者関連商品・製品に関する輸入・製造業者、流通・販売事業者を対象にした事故情報報告義務化と事故情報公開制度の導入

■回収商品・製品の対応状況に関する消費者への情報提供や廃棄を担う環境行政と消費者行政との連携した取組の確保・推進等、透明性を確保する旨の規定等。

以上

1月25日、「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会」開催にあたっての要望書を提出しました。

2016年1月25日、農林水産大臣および内閣府消費者及び食品安全担当大臣、消費者庁長官、加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会委員宛てに「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会」開催にあたっての要望書を提出しました。

原料原産地表示検討会への意見書

消費者庁と農林水産省は共催で、1月29日に「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会」をスタートさせる運びとなりました。加工食品の原料原産地表示の拡大は、食品表示法制定時に食品添加物表示や遺伝子組み換え食品表示の改善とともに、「積み残された課題」として提起されていたもので、早急な実現が求められます。

私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」は、これまで商品選択のかなめである食品表示について、適切で正しい表示の実現と、まぎらわしくあいまいな表示の排除を求め、消費者目線からの適正な表示制度導入こそが必要と訴えてきました。加工食品の原料原産地表示はその重大要求の一つですが、これまでの数年来の検討結果が事業者の利益を優先するあまり、消費者の知る権利、選択する権利などの消費者の権利をまったく省みない結果に終始していたことは否めません。そこで、私たちは、「検討会」開催にあたって次の点を強く要望します。

 1.明確に、加工食品の原料原産地表示実現を前提とした検討として取り組むこと

これまでの検討では、「事業者の実行可能性」のみが重視され、消費者の選択のための表示実現を阻む大きな要因となっていました。検討会スタートにあたっては、消費者に軸足を置く消費者行政の真価が問われていることを消費者庁・農林水産省及び各委員が認識し、加工食品の原料原産地表示の実現こそが目的であると位置付けてください。

2.現行の「義務対象品目の選定要件」を廃止し、原則、すべての加工食品に原料原産地表示の義務化を

加工食品の原料原産地表示については、これまで義務対象品目について2項目の選定要件が指定され、そのもとで22食品群と4品目(個別義務)の表示が実施されてきました。この選定要件が表示対象品および表示拡大の壁となり、日本の加工食品における原料原産地表示の実現を遅らせてきた要因となっています。検討会では下記の「選定要件」を廃止し、原則として、すべての加工食品の原料原産地表示を実現させることを検討してください。

選定要件

①原産地に由来する原料の品質の差異が、加工食品として品質に大きく反映されると一般的に認識されている品目のうち

②製品の原材料のうち、単一の農畜水産物の割合が50%以上である商品

3.冠食材の原料原産地表示も義務化を

商品名に名称が付されたものは、その原材料の原産地の表示を義務付けるべきです。(例えば、商品名が「エビピラフ」の場合、「エビ」の原産地名の表示)

4.外食、ばら売り、通信販売、ネット販売等、販売の多様化にあわせ表示義務化を

消費者が利用する外食・中食や惣菜、インストア食品などにおいても原料原産地表示が求められます。外食についてはガイドラインなどで運用されていますが、販売店ごとに整合性を欠き、不十分です。消費者目線から義務化対象に含めるべきです。

5.食品添加物の原料原産地表示についても義務化を

現在使用されている食品添加物の中にはほとんど海外で製造されている「ビタミンC」などの製品もあります。食品添加物にも原料原産地表示が必要です。

6.加工食品の原料原産地表示制度を担保するトレーサビリティの充実を

現行の表示制度は原則的に最終商品を対象にし、加工業者など中間業者に適切な情報が伝わらないと正しい表示が実施されない制度となっています。加工食品の原料原産地表示の実施にあたっては、事業者間取引においても表示の義務化が必要であり、それを担保するためのトレーサビリティシステムの導入を図るべきです。

7.検討にあたっては、消費者の意見を聞く場を設けること

消費者にとって分かりやすく、商品選択のために必要な情報が表示に記載されることが重要です。そのためには消費者の意見を反映させる必要があります。検討会において、議論の取りまとめを行う前に、消費者の意見を聞く場を設けることを要望します。

以上

11月25日 機能性表示食品制度の廃止を求める要望書を提出しました。

2015年11月25日、消費者及び食品安全担当大臣、消費者庁長官宛てに要望書「『わかりにくい制度』(機能性表示食品制度)の廃止を求めます」を提出しました。

機能性表示食品の廃止を求める要望書

河野太郎消費者及び食品安全担当大臣は、機能性表示食品制度について、「わかりにくい制度」と指摘され、「街角インタビューをしてもトクホ(特定保健用食品)と機能性表示食品制度について多くの人がその違いがわからないと答えるだろう」と述べられたことが報道されています。

私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」では、機能性表示食品制度が消費者に誤認を与えるだけでなく、消費者の健康被害・契約被害を増加させ、消費者に不利益を被らせる制度であると指摘し、トクホ制度、栄養機能食品制度との総合的・一体的見直しを実施するよう、現行機能性表示食品制度の運用中止・制度廃止を求めてきました。

同制度が導入されて7ヶ月経ちましたが、この間、多くの課題が提起され、それら課題が何一つ解決されないままに、ますます「わかりにくい制度」として推進されようとしています。それに加え、「いわゆる健康食品」にあっては機能性を暗示する表示やあいまい表示が依然として横行しており、機能性表示食品制度導入を契機として便乗表示も目立つようになりました。

私たちは以下の理由から、早急に現行制度の運用中止を実施し、トクホ、栄養機能食品などとの総合的・抜本的改善に着手することを求めます。

  1. トクホの審査で「安全性は評価できない」とされた成分が、機能性表示食品では健康に良いとされて販売される例がありますが、これは制度をわかりにくくさせている大きな矛盾です。安全性についてダブルスタンダードを許容するような制度は欠陥制度です。
  2. 販売60日前の届出制度とはいえ、データの公開期間が短縮されてきている現実は、届出に伴う公開制度の意義をないがしろにするものであり、消費者の「知らされる権利」を侵害するものです。
  3. これまでも消費者からは安全性・機能性に関する疑義情報が消費者庁に数多く提起されてきましたが、これに対し同庁は届出を受理したことに対する説明責任を果たしていません。疑義情報の提起や申出制度に関する制度的保障が担保されていない現状は、消費者の「知らされる権利」「選択する権利」を侵害するものです。
  4. 機能性表示食品制度の運用基準となる「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」は、厳密な科学的・客観的根拠の提出よりも、事業者の届出をより簡便にできるよう様々な方法を提示することを前提・重視した内容であり、この点が不安な食品の横行に道を開いています。ガイドラインに沿って「形式的審査をして届出を受理する」とする消費者庁の姿勢では消費者被害を防止することはできません。
  5. 有害事象情報(事故情報)の報告と公開が事業者に義務付けられていない中では、健康被害の未然・拡大防止はできません。被害はますます潜在化していきます。
  6. 機能性表示食品制度は「いわゆる健康食品」による「あいまい表示・暗示表示」を抑制することはありません。むしろ、食品分野で機能性表示を可能とする3制度が併存することによる複雑さによって、「いわゆる健康食品」の分野での体験談表示など「あいまい・暗示表示」はいっそう横行するようになりました。

以上の理由から、「わかりにくい制度」のままに放置するのではなく、早急に運用を停止し、トクホ・栄養機能食品制度などとの総合的・抜本的検討に取り組み、その改善に着手するよう求めます。以上

2015年9月3日 意見書「欠陥制度である機能性表示食品制度の運用停止・廃止を求めます」を提出

2015年9月3日、消費者担当大臣。消費者庁長官、消費者委員会委員長宛てに、意見書「欠陥制度である機能性表示食品制度の運用停止・廃止を求めます~早急にトクホ・栄養機能食品制度など総合的・一元的見直し検討に着手して下さい~」を提出しました。
機能性表示食品に対する意見書

9月1日付けマスコミ報道によると、消費者庁は8月31日、特定保健用食品(トクホ)の審査では安全性が確認できないという評価結果が出た関与成分について、その成分を含む食品を機能性表示食品として販売されることに対しては当該事業者に届け出の撤回を求めないことを決定した、とのことです。

このことは、トクホとしては安全性が確認されないのに、機能性表示食品としては、健康に良い作用のある成分として表示・販売される、ということを国として許容したことを意味し、食品の「安全行政」と「表示行政」、その施策遂行において重大な矛盾・不整合性をはらむものであることを示しました。

私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」は、機能性表示食品の制度自体に、このような矛盾、不整合、混乱を発生させる仕組みと欠陥があることを指摘し、これまで、機能性表示食品制度の廃止と、トクホ及び栄養機能食品制度などを含めた総合的で統一的な見直し検討に早急に着手すべきであることを消費者庁及び消費者委員会に強く求めてきました。

ところがそれ以降も消費者庁及び消費者委員会は、機能性表示食品制度への対応において、事態の推移を放置・傍観し、消費者庁にあっては私たちが「欠陥ガイドライン」と指摘した「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」の形式的審査に依拠するのみで、消費者行政の一元化と司令塔機能の発揮という自らの使命を放棄し、消費者委員会にあっては、法で明記された消費者のための勧告権を行使する必要性を一片も検討することなく、いずれも、私たち消費者の期待感をことごとく裏切る状況を招いてしまっています。今や、消費者行政は、かつての企業利益を優先した企業育成行政へと軸足を移しつつあると思わざるを得ません。

私たちは、以下の理由から、機能性表示食品制度が消費者の混乱を拡大させ、消費者の健康被害や経済的被害を拡大させ、結果的に食品及び食品業界の信頼感を喪失させる欠陥制度であること、それに対し、消費者庁及び消費者委員会が、制度運用の停止を決定・勧告し、早急に総合的見直し検討に入ることを表明するよう、改めて強く求めます。

1.欠陥制度は消費者被害を拡大させます

「安全性が確認されない」と科学的に評価された成分が、健康に良い作用を持つ成分であると表示され販売されることを許容する制度は、制度それ自体に重大な欠陥があることを示しています。施策の矛盾を正当化する欠陥制度を放置したままでは、消費者被害はさらに増加していきます。

2.機能性表示制度は消費者の権利を尊重しない政府の失策・失政です

機能性表示食品制度は、消費者の権利よりも企業の利益を優先したものであることは2013年の「規制改革会議」の審議をはじめ、同制度の企画・立案・審議・導入過程で明らかとなっています。消費者被害の発生増加が十分予想されるのに、その予防措置すら不十分なままに、急ぎ導入したことは、欠陥制度策定という失策に加え、その運用を推進するという消費者行政の失政以外のなにものでもありません。

3.事業者の利益優先で運用される「欠陥ガイドライン」も問題です

制度運用の基本となる「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」は、できるだけ事業者の届出を簡易にするための欠陥ガイドラインです。事業者が届け出るデータは科学的根拠が厳密でないものでも採用を可能とするもので、基本的には事業者の合理的説明で良しとする内容です。実際、そのガイドラインに沿った資料が届け出されているのです。このようなガイドラインに依拠する限り、欠陥制度はいっそう拡大し、消費者の権利は侵害され、消費者の利益は損なわれていきます。

4.健康被害情報(事故情報)の報告義務と公表制度がない中では被害は潜在化します

8月31日の記者会見で消費者庁の板東久美子長官は、当該事業者に「発売後に健康被害情報の収集などを行うよう要請した」とし、健康被害が発生した後の対応を注視している発言が報道されていますが、機能性表示食品制度は、事業者に健康被害情報の収集を求めているものの、消費者からの通報制度は明快にしていませんし、その報告と公開については義務付けていません。重大事故についても、原因が当該機能性表示食品と関わりがあるとわかった段階での公開であり、食品と健康被害の因果関係の検証を事業者の判断にゆだねています。実際、「ガイドライン」では、事故情報の収集を事業者に要請しているものの、その報告と公開については、しなくても良いことになっています。このような報告義務と公開制度のない状況のままでは被害の予防処置とはなりえず消費者被害が潜在化・深刻化し、一般に判明するときは大事故に発展した後のこととなります。

5.欠陥制度を啓発事業や消費者教育の対象にすることは本末転倒です

機能性表示食品制度の導入時には、消費者への情報提供とあわせ、制度の理解へ向けた消費者教育の推進が謳われました。しかし、そもそも欠陥制度を理解してもらおうと消費者への啓発活動や消費者教育推進の対象にすること自体、本末転倒です。消費者行政自らが、消費者に混乱を与え続けていくものです。

6.現行食品表示法は機能性表示食品制度に対し、監視チェックが効きません

食品表示法に基づく「申出制度」と「販売前の届出資料公開制度」は、運用実態から見ると、いずれも機能性表示食品制度に対しては監視機能が効かず、消費者にとっては意義の薄いものです。「販売前60日の届出」も、60日間の公開ではないことから、現在は公開制度の不十分性を補完するだけのものであり、消費者の「知らされる権利」「安全の権利」「選択する権利」が尊重されていません。

7.制度を廃止し、トクホ等含め総合的検討への着手を

機能性表示食品の登場で、現在、機能性を表示できる食品はトクホと栄養機能食品を含め三種類存在しています。これに加え、「いわゆる健康食品」についても、その表示には機能性をほのめかしたり、暗示したりする記述が横行しているのが実態です。消費者にとっては混乱以外のなにものでもなく、被害拡大の温床となっています。消費者庁及び消費者委員会は、消費者被害の防止と救済へ向け、欠陥制度である機能性表示制度を速やかに廃止し、トクホ、栄養機能食品を含めた総合的・一元的検討に着手すべきです。それこそが、消費者の期待を背に発足したはずの消費者庁及び消費者委員会の使命と考えます。

以上

2015年8月31日 意見書「食品表示法改正の要望」を提出

2015年8月31日、消費者担当大臣、消費者庁長官、消費者委員会委員長宛てに、意見書「食品表示法改正の要望」を提出しました。
食品表示法改正の要望

食品表示法は、平成25年第183回国会に上程され、平成25年6月13日成立、同28日公布され、2年以内に施行とされたものです。しかしながら、その後、規制改革会議において、健康食品の機能性表示を求める検討が行われ、平成25年6月14日、機能性表示を認める閣議決定がなされました。

また、この表示制度は平成27年3月末までに実施するとされたので、消費者庁は、平成25年12月から検討会を開催して、食品表示法に基づく表示基準に盛り込むことを決定しました。そのため、2年以内施行とされていた食品表示法は、急遽4月1日施行とする閣議決定がなされ、食品表示法に基づく新たな食品表示基準が、3月20日に、内閣府令第10号として告示されました。

私たちは、健康食品の機能性表示解禁に反対し、食品表示法に基づく届出制にも反対してきました。現在必要なことは、特定保健用食品を含む健康食品の表示、広告の適正化であり、いわゆる健康食品の規制であると考えています。

しかし、現実には本年4月1日から実施されてしまいましたが、機能性表示制度が食品表示法の中に位置づけられていないため、非常に分かりにくく、使いにくい制度となっています。そこで、とりあえず、機能性表示問題に限り、以下のとおり、食品表示法の改正を求めます。

1 食品表示法第11条(適格消費者団体の差止請求権)

11条は下記のとおりの文言となっており、差し止め請求を行える表示違反が「販売の用に供する食品の名称、アレルゲン、保存の方法、消費期限、原材料、添加物、栄養成分の量若しくは熱量又は原産地」に限られていて、機能性表示食品の表示基準違反が差し止め請求の範囲から外れている。これは、本法案が国会で審議されているときには、「機能性表示食品制度」が存在していなかったからである。したがって、差し止め請求の対象に、機能性表示食品も加えるように改正すべきである。

「消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)第二条第四項に規定する適格消費者団体は、食品関連事業者が、不特定かつ多数の者に対して、食品表示基準に違反し、販売の用に供する食品の名称、アレルゲン、保存の方法、消費期限、原材料、添加物、栄養成分の量若しくは熱量又は原産地について著しく事実に相違する表示をする行為を現に行い、又は行うおそれがあるときは、当該食品関連事業者に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該食品に関して著しく事実に相違する表示を行った旨の周知その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。」

2 食品表示法第12条(内閣総理大臣に対する申出)

12条1項は下記のとおりであるが、消費者庁は、この条文の対象は現に販売の用に供されている食品に限るとしている。しかし、機能性表示食品は、販売前60日の届出と届出資料の公表が義務付けられており、何人もこれを見て販売前に科学的根拠等を検討することができる。届出の中には、科学的根拠に疑義のあるものが存在するので、販売前にも申出ができるとするべきである。そうでなくては、販売前60日の届出を義務づけた意味がない。

「何人も、販売の用に供する食品(酒類を除く。以下この項において同じ。)に関する表示が適正でないため一般消費者の利益が害されていると認めるときは、内閣府令・農林水産省令で定める手続に従い、その旨を内閣総理大臣又は農林水産大臣(当該食品に関する表示が適正でないことが第六条第一項の内閣府令・農林水産省令で定める表示事項又は遵守事項のみに係るものである場合にあっては、内閣総理大臣)に申し出て適切な措置をとるべきことを求めることができる。」

3 食品表示法第6条の指示、措置命令、回収命令等が、機能性表示食品に適用できるかどうか、不明確であるから、機能性表示食品に対しても指示等ができる旨を明示すべきである。

以上

 

2015年8月31日 意見書「原料原産地・食品添加物・遺伝子組み換え食品表示等の検討を早急に開始することを求めます」を提出

2015年8月31日、消費者担当大臣、消費者庁長官、消費者委員会委員長宛てに、意見書「原料原産地・食品添加物・遺伝子組み換え表示等の検討を早急に開始することを求めます」を提出しました。
 原料原産地・食品添加物・遺伝子組み換え食品表示等の検討を早急に開始することを求めます

長年の消費者運動の懸案だった、複数の法律にわたる複雑さを解消し、食品の安全性の確保と消費者の選ぶ権利を求めた食品表示法の一元化が実現し、2013年6月28日公布され、今年4月1日に施行された。

同法法案は衆議院で11、参議員では12の付帯決議がなされている。製造所固有記号の在り方、栄養義務表示の見直し、加工食品の原料原産地表示の在り方、仲食、外食へのアレルギー表示の在り方、食品添加物の表示の在り方の見直し、などについて本法成立後速やかにその検討の為の機関を設置し、検討に着手することとある。

さらに法案可決後、当時の森まさ子消費者担当大臣は記者会見で「今後は消費者団体など関係者の意見をしっかり取り入れ、できるだけ早く取り組みを始めたい」と述べている。

しかし、法律成立後2年を経過した現在も、未だ検討の兆しはない。「速やかに」「できるだけ早く」とは単なる言葉遊びではないはずだ。 複数回に分けて、基準が変更されることは消費者のみならず、事業者にとっても大変紛らわしく、混乱をきたし望ましいことではない。しかも、新法に基づく表示に完全移行が事項によってばらつきがある。加工食品と添加物は平成32年4月1日、生鮮食品は平成28年10月1日、機能性表示食品は本年4月から施行するなど経過措置期間が異なり、全く理解に苦しむ。

積み残された食品表示基準の検討機関を設置し、すみやかに検討をスタートすること。さらに、各課題のスケジュールを具体的に示すことを強く求める。 以上

2015年6月4日 機能性表示制度の見直しを求める意見書を提出

2015年6月4日、消費者担当大臣および消費者庁長官、消費者委員会委員長宛てに、機能性表示制度の見直しを求める意見書「能性表示制度は欠陥制度 早急に運用中止し、見直しを求めます ~「ガイドライン」に見る消費者にとっての機能性表示制度の欠陥性~」を提出しました。
機能性表示制度の見直しを求める意見書
「ガイドライン」の欠陥性 概略

私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」は、「欠陥制度」であることから導入を見直すようにと政府に要求してきた食品の「機能性表示制度」が4月1日、拙速のまま導入されました。すでに、販売60日前の届出と届出情報の公開制度によって、5月29日現在、26製品が届出受理されたことが消費者庁ホームページで公開されています。しかし、すでに、そのいくつかについて、安全性及び機能性に関するデータへの疑義が提起されており、消費者の混乱は増す一方となっています。

この制度創設に際して参考とされたアメリカには、「ダイエタリーサプリメント健康教育法」(DSHEA=ドシエ)という規制法があり、錠剤・カプセル型のサプリメントについて事業者の法的義務が規定されています。

しかし、日本の機能性表示制度は、法の制定・改正をまったく伴わない規制緩和を前提に設計されたもので、その運用は、抜け穴だらけで法的拘束力もない「ガイドライン」(指針)に、基づいて行われることとなりました。

この機能性表示は事業者の責任で実施し、消費者庁は安全性・機能性の科学的根拠について評価・関与しないという制度です。その旨が包装表示にも義務付けられることになっています。消費者目線よりも、アベノミクスの「成長戦略」に基づく事業者の規制緩和を優先した無責任な制度としてスタートしたものです。

制度設計にあたって安倍晋三首相は、「世界で一番企業が活動しやすい国をめざす」とし、その具体例として機能性表示制度を挙げたことはあまりに有名です。

しかし、その結果として、次のような問題が浮上することになりました。

 

  1. 特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品、機能性表示食品制度の3つの制度が併存することになり、従来の「いわゆる健康食品」の販売とあわせ、表示の混乱が生じています。「機能性表示まがい食品」が以前から横行しているのに、その監視・チェック体制は整備されていません。
  2. 現行トクホ、栄養機能食品、医薬部外品の許可表示などと機能性表示との表示に関する混乱が生じています。
  3. 健康被害情報の事業者の報告義務・公表義務制度がないことから、ますます健康被害が潜在化していきます。
  4. GMP(適正製造規範)制度の義務化がないことから、品質への信頼性も担保されないままのスタートとなりました。
  5. チェック機能が発揮される保証がないことから、行政も業界も運用にあたって手探り状態がしばらく続きます。その間も消費者被害(健康被害・財産被害)は増加していきます。
  6. 機能性表示は「いわゆる健康食品」の表示の規制にはつながりません。それは、トクホ制度創設によっては誇大・誤認表示がなくならなかったことと同様です。むしろ、「いわゆる健康食品」の誇大・誤認・虚偽・あいまい・ほのめかし・体験談表示等、不当な表示を助長させる結果となっています。
  7. 制度への理解を求める「消費者教育」が強調され、理不尽な「消費者の責任論」が主張される温床ともなっています。制度創設によって、もっとも迷惑を被るのは消費者であることがますますはっきりしてきました。機能性表示制度は欠陥を持つ「欠陥制度」なのに、その欠陥制度を消費者に理解してもらおうと消費者教育の対象にすること自体が本末転倒です。
  8. しかも、新規に導入されたはずの「申出制度」が当初の消費者庁の説明とは異なっていることがわかり、申出制度の十分な機能が発揮できずに形骸化する可能性があることも判明しました。販売60日前の届出と、届出情報の公開にも時間差があることから、公開の意義が薄れ、「申出制度」を利用しようとする消費者に混乱を与えています。

 

そこで、消費者被害を防止し、社会的混乱を解消し、食品表示の適正化を図るために、私たちは以下の3点を緊急に要望します。

(1)機能性表示制度の運用停止および3つの制度の総合的・一元的な見直し検討に速やかに着手(2年後見直しを待たずに)すること 

(2)「いわゆる健康食品」への法的規制の強化・導入と、市販後調査の実施、およびその結果を公開する制度的導入(事後規制の強化)を図ること

(3)消費者被害防止への各種制度創設食品事故情報の報告義務化、リコール基本法の制定検討に着手するとともに、

食品表示法の申出制度を抜本的に見直し、調査結果の申出人への通知や、異議申し立て制度も保証した「スーパーコンプレインツ制度」へと速やかに改正を図ること

導入された機能性食品制度では、その実際の商品が販売される前から研究データをめぐる不適切・不適正な運用が散見しています。これは制度自体に問題があることを示し、制度運用を適切に実施することを目的としたガイドラインにも重大な欠陥があることを示しています。

私たちは、運用の核となるガイドラインの課題、その欠陥性を指摘することで、再度、同制度運用の即刻中止・見直しを求めます。

以上

2015年4月14日 トランス脂肪酸の表示義務化に向けて要望書を提出

2015年4月14日、消費者担当大臣、消費者庁長官、消費者委員会委員長宛てに、要望書「日本動脈硬化学会の指摘を踏まえトランス脂肪酸の表示を義務化すべきです」を提出しました。
トランス脂肪酸表示義務化要望書

消費者委員会「食品ワーキング・グループ」は3月20日、トランス脂肪酸に関する日本動脈硬化学会・寺本民生前理事長によるヒアリングを実施し、今後、報告書をとりまとめることを決めました。同学会は、消費者の健康被害防止の観点から、2013年にトランス脂肪酸を動脈硬化性疾患発症の原因物質の一つとして位置付け、その表示を「ただちに行うこと」とする要望書を安倍晋三総理大臣と当時の阿南久消費者庁長官に提出していました。当日のワーキング・グループで寺本前理事長は、改めて、トランス脂肪酸の表示義務化が喫緊の課題であることを表明されました。

私たち「食品表示を考える市民ネットワーク」は、この指摘の重要性を踏まえ、消費者の安全の権利、消費者の選択の権利等、「消費者の権利」の確保・実現へ向け、トランス脂肪酸の表示を義務化することを強く求めます。

トランス脂肪酸の摂取は、動脈硬化や心臓病のリスクを高めることが明らかとなっており、アレルギー疾患や免疫力の低下とも関係しているとの指摘も多くあります。そのため多くの国で表示は義務化されており、使用制限や使用禁止へと向かっています。

しかしながら、日本においては一部の偏った食事をする人を除きリスクは低いとして、表示は義務化されておらず、そのため摂取を控えたくても表示で選別することは出来ない状況にあります。トランス脂肪酸の健康影響についての情報も少なく、摂取に気を配る人も多くありません。最も影響が心配とされる子どもや若い女性に過剰摂取が存在していることは大きな問題です。

消費者委員会食品ワーキング・グループのヒアリングでも寺本氏は、学術的見地からトランス脂肪酸の心血管病への影響は明白であり、米国で2006年にまとめられた報告書においても作用機序として立証されていると説明。動脈硬化が完成するには何10年もかかり、結果としてある日突然「心筋梗塞」という形で現れることから、ファーストフードの日本上陸が70年代であることを考えると疫学的な実証には時間を要するが、将来深刻な問題となると予測されています。若い世代、特に子どもたちへの影響が大きいことをもっと真剣に考えるべきだと述べられました。

そして、健康寿命延伸のための対策として、予防医学の重要性とそのことを補完する社会システムの重要性、世代間で知恵を継承していくことの重要性を強調され、トランス脂肪酸については限りなくゼロを目指すことが望ましく、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸と分けて表示することが望ましいと提言、現在は表示されていない以上、消費者には選択できないこと、事業者側の削減努力にもつながらないこと、などを指摘されました。

消費者委員会は、トランス脂肪酸の表示に関する検討はワーキング・グル―プとしては終了とし、とりまとめを行なう予定とのことですが、今回のヒアリングにおける再度の意見表明、そしてその要望には日本高血圧学会、日本循環器学会、日本小児科学会等、六つの学会も同意していることを重く受け止め、予定する報告書においては、トランス脂肪酸の表示義務化実現を明記した内容とすることを強く求めます。

以上